□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月28日発行 第368号 ■ =============================================================== 米政府監査院(GAO)が明らかにしたグアム移転経費のごまかし =============================================================== ウィキリークスが公開した米外交文書によって、日米両政府が 在沖縄海兵隊のグアム移転経費をごまかしていたことが分かった。 深刻な背信行為、犯罪行為であったにもかかわらず、いや、深刻 な背信、犯罪であったからこそ、日本政府と官僚はノーコメントを 貫いてごまかした。 それを野党もメディアもまったく追及しなかった。 こうして、政府、官僚の税金流用の権力犯罪がやりすごされよ うとしていた。 ところがそうは問屋がおろさなかった。 5月27日の朝日新聞がメガトン級のスクープ記事を流した。 すなわち米政府監査院(GAO-筆者註:米国連邦議会行政監査 局という訳などもある)は、5月25日、在沖縄海兵隊のグアム 移転経費は、日米両政府が2006年に合意した額の約3倍規模 であるとする報告書を提出したというのだ。 その記事が報じる内容は驚愕的だ。何から何まで日米合意の見積 もりがいい加減であった事を明らかにしている。 米政府監査院は日本の会計検査院よりもはるかに権限のある予算、 行政監査機関である。 米国民に対する説明責任を果たすことを使命とした機関である。 米国政府はこのままではすまない。 グアム移転の経費見積もりは白紙にもどって見直されること必至 である。 おりからレビン上院軍事委員長らはグアム移転の日米合意はもはや 完全に非現実的になったとオバマ大統領、ゲーツ国防長官に見直し 提言をした。 6月中にも正式に就任するパネッタ新国防長官を待ってオバマ大統領 は見直しを命じるだろう。 それにもかかわらず日本政府や官僚は日米合意を変えないと繰り返す。 日本のメディアは、「日米合意の早期実施で日米政府が一致している」 という官僚のにせ情報を垂れ流す。 日本の政府・官僚は嘘だらけの機能不全状態だ。 しかし、それを正しく報じることのできない大手メディアはもっと 機能不全だ。 朝日のこのスクープ記事が出て一日たった今日5月28日の報道を 私は注目していたが、どのメディアもそれについて書くことはなかった。 米政府監査院のこの重要な報告書が、あたかもなかったかのようだ。 これでは日本国民はまともな判断はできない。 了
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