□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月23日発行 第43号 ■ ============================================================= はやくも死語になった日米韓同盟 ============================================================== 北朝鮮の韓国への砲撃が起きたのは昨年11月末であった。 これをきっかけににわかに日米韓同盟なる言葉がメディアをにぎわす ようになった。 対米従属の菅民主党政権と日本のメディアは、北朝鮮・中国の脅威に、 日米韓三カ国は軍事的結束を固めて対抗をしていこうと、今も唱える。 しかし、まさしく中国・北朝鮮脅威論が叫ばれていたその時から、その 言葉は死語になりつつあったのだ。 新年早々の1月6日付朝日新聞は、ソウル発、牧野愛博記者の記事と して、「韓国、対中重視へ」という見出しをつけて要旨次のような記事を 掲載していた。 「・・・キムソンファン韓国外交通商相は5日、今年の外交方針として 中国をより重視する考えを示した・・・米国に次ぐ主要外交対象国として 日中露を挙げた上で、『特に中国と戦略的な相互理解を強化する』と語った。 近く行なう組織改革で中国の担当課を倍増し、要員も増強する。 日本は今月(1月)、北沢防衛相と前原外相が相次ぎ訪韓するが韓国政府 はすでに、日韓の安全保障協力について、中国を最大限刺激しない方向で 進めたい考えを非公式に日本側に伝えた・・・」 この朝日新聞の記事を裏付けるように日本語版ニューズウィーク誌1月 26日号は、「日本との防衛協力に韓国がツレない訳」と題して、要旨次の ように書いていた。 「北朝鮮の砲撃事件以降、日本政府は韓国に対して安全保障協力のラブ コールを送り続けている。だが韓国側はツレないご様子。それは過去の植民 地支配や(竹島)領土問題だけが理由ではない・・・韓国最大の貿易相手国 である中国への配慮もハードルになる・・・日本と韓国が直接的な防衛協力を 結べば、中国の怒りが韓国に向きかねない・・・」 おりしも米中首脳会談において、米中は、その政治的・軍事的対立を棚上げ したまま、米中経済関係を拡大させる現実を世界に見せつけた。 決定的なのは1月21日の朝日と産経の報道だ。 朝日は、米中首脳が朝鮮半島の緊張緩和で合意したと報じている。 産経は韓国が北朝鮮の南北対話提案を受諾したと報じている。 早くも日米韓同盟は死語となった。 米国にそそのかされて日米韓同盟などと叫び続ける菅・前原民主党外交は とんだ馬鹿を見る事になる。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)