□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月23日発行 第44号 ■ ============================================================= 日本のイラク戦争検証議員連盟は今本気で活動をしているのか ============================================================== イラク戦争検証議員連盟なるものが日本に出来たのは昨年の12月2日 だった。 当時の報道を振り返って見るとこうだ。 民主、共産、社民、無所属の国会議員18人が、イラク戦争を支持した 政府の判断を検証するための議員連盟を結成し、衆院議員会館で設立総会 を開いた。 今後はメンバーの拡大と共に、イギリスやオランダのイラク戦争独立 調査委員会を参考に第三者検証機関の在り方を検討する。来年2月にも 政府に設置を提言することを目指す。 2月といえばもうすぐだ。その後どうなっているのだろうか。 私がその事を思い出したのは、1月22日の朝日新聞が、イラク戦争を 検証する英国の独立調査委員会が21日、ブレア元首相に2回目の喚問を 行なった、と報じていたからだ。 まだやっているのか。英国の独立調査委員会の活動の本気度には改めて 驚かされる。敬意を抱く。 しかし、もっと驚くのは朝日が報じる次の点である。 ・・・ブレア氏は開戦に1年以上先立つ2001年12月から、サダム・ フセイン打倒についてブッシュ米大統領と協議していたことを明かした。 ・・・ブレア氏はまた、英政府としての方針が決まっていない02年7月、 ブッシュ大統領に「我々を頼りにしていい。常に一緒だ」などと協力を約束 する書簡を送ったことも明らかにした・・・ こんな事が当時暴露されていたらイラク攻撃に対する英国の反発はもっと 高まっていたに違いない。イラク攻撃は継続出来なかったかもしれない。 ひるがえって日本のイラク戦争検証議員連盟は、日本政府の当時の対応や その背景にあった真実を本気で検証する覚悟があるのだろうか。 議員連盟の会長である斉藤つよし議員は今、民主党の国対委員長代理と して対米従属の菅民主党政権を支えることで多忙だ。 米国がもっとも嫌うイラク戦争の検証など、斉藤議員にできるのだろうか。 それよりも何よりも、米国とのハレーションを起こす事を最も恐れる菅 首相がそれを許すはずはない。 私は今でも確信している。米国が鳩山前首相を許さなかった最大の理由は、 普天間問題で迷走したことでも、東アジア共同体構想を唱えてことでもない。 「イラク戦争は間違いだった」と国会で発言したからだ、と。 今の日本の政治家の中で本気になってイラク戦争の検証ができる者は一人 もいないと思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)