□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月7日発行第184号 ■ =============================================================== 国民の目の見えないところで猛烈な対米従属が進んでいる =============================================================== これから書くテーマは、私にとって強い関心と危惧を抱くテーマなので、 これからも折に触れて書いていきたいと思うが、このメルマガではとりあえず 問題提起だけしておく。 一つは沖縄の知事選の行方であり、もう一つは思いやり予算である。 いずれも今日の新聞記事について解説しながら書いてみたい。 それら記事は一段の小さな記事だ。新聞によっては報道すらされていない。 TPPや尖閣ビデオ流出などに比べれば存在しないに等しい。 しかし私にとっては見逃せない記事だ。 安住防衛副大臣がグアムに行ってグアムのインフラ整備に対するわが国の 融資に言及した。まもなく確定する来年度予算案に計上する事を明らかにした。 これは普天間基地に関する日米合意の交渉が大詰めを迎えているということだ。 米国が沖縄の海兵隊をグアムへ移転させる事は、もっぱら米国の都合で既に 小泉政権下で決まった事だ。 それが遅れたのは、政権交代によって普天間基地移転問題が迷走したからだが、 今の米国にとってもっと大きな理由は、移転の前提となるグアムのインフラ整備 の予算手当てが出来なくなるという事態が起きたからだ。 そして日本がその肩代わりをさせられる。 これは今までの日米合意を超えたまったく新しい問題であるのに、そこが ごまかされ、なし崩し的に日本の協力が既成事実化されていく。 日本が融資の原則を曲げてまであらたな負担をする事によってグアム移転は 可能になる。 これで沖縄の海兵隊がグアムへ移転する事が確定する。 海兵隊がグアムへ移転することばかりが喧伝されて普天間基地移設問題は 色あせる。 海兵隊がグアムへ移転する事で譲歩したのだから沖縄県民の負担は減るじゃ ないか。辺野古沖移転ぐらいは日本が譲歩すればいいじゃないか、となる。 海兵隊のためではなく、在沖縄米軍の飛行場がより機能強化されて辺野古に 新設されることになる。 海兵隊のグアム移転が決まることによって沖縄知事選の仲井真知事の勝利は 確定的となる。 もう一つの記事は、思いやり予算をめぐる日米交渉の結論が持ち越しと なったという記事である。 これだけを読めば日本側が頑張っているようだが実態は逆だ。 日本側は予算額を減らしませんと米国に提示している。 国民の了解を得る努力をせずに勝手に米国に先に提示している。 しかし米国は現状維持では不満なのだ。 増額しろ、そうでなければ応じないと言って結論が持ち越されたのだ。 こんなとんでもない交渉が外務・防衛当局の審議級協議という下っ端官僚に 委ねられているのだ。 米国に押し切られて終わるのが目に見えている。 なぜ国民の目の前で、大臣間の政治交渉をしないのか。 普天間問題といい、思いやり予算といい、なぜメディアは国民に正しく報道 しないのか。 菅民主党政権とそれを支えるメディアによって、国民の知らないところで 無条件の対米従属が進んでいる。 それに警鐘を鳴らすまともな政治家がいなくなった。 了
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