□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月7日発行第183号 ■ =============================================================== 今のアフガニスタンは日本の協力に値するする国なのか =============================================================== 発売中の週刊ニューズウィーク11月10日号に注目すべき記事を見つけた。 こんな情報は日本のメディアでは決してお目にかかれないので紹介したい。 少し前のニューヨーク・タイムズ紙に、アフガニスタンのカルザイ大統領が 昨年の8月に大量のユーロ紙幣を持ち帰った、という報道がなされたという。 その記事がきっかけでイランがアフガニスタンへの影響力を強めようとして いるのではないかとの懸念が高まった、という。 そして、そのニューズウィークの記事は、カルザイはあっさりイランから 毎年1、2回、最高70万ユーロの資金提供を受けていたと認めた、「カネを もらって何が悪い」といわんばかりだ、と報じている。 それよりももっと驚くべきは、カルザイがイランから資金提供を受けている という情報をリークしたのは米政府だ、とカルザイが示唆したことだ、という。 この記事は何を意味しているのか。 もはや米国とカルザイ大統領の間に信頼関係は完全になくなっているという ことだ。 米国は腐敗まみれのカルザイなどとうの昔に相手にしていない。アフガンなど どうなってもいいのだ。アフガンに潜んでいるテロやそれをかくまうタリバンを 壊滅すればいいだけの話だ。 ちなみに同じニューズウィークは、他の記事において「タリバンが震え上がる 米軍の新兵器」と題して、米国はテロの潜伏場所を高精度の情報探知力と抜群の 破壊力を持つ弾頭を標的の1メートル以内に命中させる移動式ロケットで、 タリバンに大きな打撃を与えつつある、と報じていた。 一方のカルザイは、アフガニスタンで活動する米国民間警備会社の誤射や事故 で市民の犠牲が続発することにより、これら警備会社の活動を禁止すると言い出 して米国ともめている。 イランの協力を得て治安を回復したほうがいい、といわんばかりだ。 これがアフガンの現状なのだ。 米国とアフガン政府の関係なのだ。 イランとアフガン政府との関係なのだ。 そのようなイランとカルザイ大統領の関係を米国は十分知っているのだ。 こんなアフガンと米国とイランの関係を知ってか、知らずか、日本はアフガン 復興支援に多額の援助を出し、ついにアフガンに自衛隊医官を派遣しようとして いる。 米国に気兼ねしてイランの経済利権をすべて手放そうとしている。 これが日本の外交なのである。 対米従属外交の行き着く果てがそこにある。 了
新しいコメントを追加