□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年10月9日発行第137号 ■ =============================================================== 対中外交をめぐる前原・北沢大臣の対立の裏にあるもの =============================================================== 今日の報道で私が一番注目したのは、なんといっても対中外交をめぐる 前原・北沢両大臣の対立についての記事である。 すなわち各紙は一斉に次のような記事を掲載していた。 10月11日にベトナムで開かれる予定の日中防衛大臣会談が、会談の 申し入れを現地大使館に命ずる公電の発出が遅れたため、いまだ実現の見通し が立っていない。 その事を知った北沢防衛大臣が8日の記者会見で怒りをぶちまけたという。 これを知った前原外相は、やはり8日の記者会見で、公電発出の遅れを認め 陳謝した上で、他意はない、それほど大きな問題か、と質問した記者に不快感 をぶつけた、という。 この前代未聞の外務・防衛大臣の対立の持つ意味は大きく、深い。 これがもし外務省の単純なミスであれば、それはそれで大問題だ。 外交一元化のもとに、外務省はすべての外交的やり取りを公電と言う形で 独占してきた。 そんな権限を持っている外務省が不注意で公電を遅らせ、その結果日中防衛 大臣会議ができなくなったとしたら国益を損ねた事になる。 ただでさえ微妙な時期だ。 防衛大臣会談が実現していればなんらかの糸口を見つけられるかもしれない。 北沢防衛相が怒るのも無理はない。 しかし、これは単なるミスではなさそうだ。 前原外相は8日の記者会見で、「中国漁船衝突事件を受け中国が閣僚級の 交流停止を表明していたため、外務省が保留していた」と説明したという。 10月9日の産経新聞に至っては、「サボタージュはありえない。仙谷氏の 判断を仰いだが、なかなか判断が下りてこなかったせいだ」との外務省幹部の 発言を掲載し、その仙谷官房長官は同じく8日の記者会見で、「事実関係は わからない。(自分で支持したかどうかについては)覚えていない」と語った、 と報じている。 壮大な不明だ。一体菅政権の内部で何が起きているのか。 菅内閣の外交混乱に又一つ大きな証拠が出たという事だ。 いつもの様にそこには菅首相の姿はない。 これからの予算委員会で究明されなければならない菅政権の外交に、また 一つ大きな問題が出てきたということだ。 了 おしらせ 本日(10月9日)に以下の通り講演会が開かれますので案内します。 記 テーマ:民主党政権に任せたら日本はどうなる?今すぐ日本を良くする処方箋 (構成: 天木直人講演、ベンジャミン・フルフォード講演、ベンジャミン VS天木氏による対談、質疑応答) 日時: 2010年10月9日(土) 14:00~17:00(受付は 13時半から) 場所: 千駄ヶ谷区民会館 2F (東京都渋谷区神宮前1-1-10) アクセス: JR山の手線 原宿駅「竹下口」 徒歩6分 費用: 3000円 (学生2000円)
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)