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三枝玄太郎のニュース解説

三枝玄太郎(元産経新聞記者 フリーライター)

三枝玄太郎

高市早苗氏を「抹殺」し、左派メディアに阿った「岸破政権」の末路
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 旧安倍派が崩壊の危機に瀕している。メディアの調査では、半数ほどが落選し、国会に戻れないのではないかと言われている。一説には森山裕・幹事長は、自身が2005(平成17)年7月、郵政民営化法案に造反し、小泉純一郎首相(当時)に刺客を送られた経験(無所属で出馬し、当選した)から、「いわゆる『裏金』議員を非公認にするのには反対だ」と主張したと言われている。

 だが、共同通信が2日、発表した石破内閣の支持率が50・7%だったことが伝わると、石破首相は、非公認を強く主張した小泉進次郎・元環境相らの主張を入れ、「12人を非公認、44人を比例重複立候補を認めない」ことを決断したという。もともと自身が総裁選に出馬したとき、「裏金議員は公認しないことも含めて検討する」と言い、党内で強い反発の声が上がったいきさつもあった。それが、森山氏に言われ「公認する」→小泉氏らに言われ「非公認議員は12人にし、44人に比例重複も認めず、大ナタを振るう」とコロコロと変わった。


苦戦が伝えられる萩生田光一・元自民党幹事長の応援に駆け付けた高市早苗・前経済安全保障担当相(右から2人目)=17日、東京都八王子市のJR八王子駅前(三枝玄太郎撮影)


 思えば、石破茂首相はブレにぶれていた。9月27日、彼が自民党総裁選の決選投票で高市早苗・経済安全保障担当相(当時)を破って総裁就任が決まったとき、高市早苗氏が第1回目の投票でトップとなったときに上昇していた急落。週末をはさんだ30日も終値で1900円超。下げ幅では過去5番目の「暴落」だった。

 石破首相は総裁選の際、富裕層が持つ金融所得への課税強化や、法人増税に言及した。こうした「財政規律色」の強い言動を市場が嫌ったことは明らかで、この株価の大幅下落と、それに続く政権発足後の支持率が2008(平成20)年9月の麻生太郎内閣に匹敵するほどの低い数字だったことから自信を喪失してしまったのだろう。周囲の長老たちの言いなりになってしまった。何とかしなければ、と「裏金」議員を成敗する形をとってみせた。これで、支持率の回復を図り、旧安倍派(清和会)の力を減殺させることができれば、一石二鳥だとの思いもあったのではないだろうか。

 

萩生田光一・元幹事長の手を高々と挙げて、声援に応える高市早苗・前経済安全保障担当相=17日、東京都八王子市のJR八王子駅前(三枝玄太郎撮影)


 ところが、これは折に触れて以前からYOUTUBEなどでも言っていたが、政治資金収支報告書への不記載問題は、震源が自民党である上に、どこまでいっても攻める立憲民主党の方が有利だ。石破首相が、永らく自民党の非主流派に甘んじていた時、なぜあんなに「総理・総裁にふさわしい人物」ナンバー1だったのか、不思議に思われている方もいると思う。

 確かに石破氏が地方行脚に力を入れ、彼の持論である「地方創生」が一定程度、東京から離れた地方で受け入れられていたのは事実だ。自民党内でも東京や大阪などの大都市から離れれば離れるほど、石破人気は高かった。

 だが、「後ろから鉄砲を撃つ男」たる石破氏の面目躍如は「権力の象徴たる自民党内にあって、臆せずモノを言う」姿勢が支持されていた側面もあり、それは左派的傾向の強い有権者に受け入れられ、「総裁にふさわしい人物」1位になれた側面も強い。「総理・総裁に誰がふさわしいか」をマスメディアが訊く対象は、自民党員ではない左派的傾向が強い人も当然に多く含まれているわけで、その中では、石破氏の人気は高かったのだろう。

 しかし一方で、生前の安倍晋三・元首相が言っていたように「世の中には岩盤保守が3割いる」という肌感覚はおそらく正しい。だからこそ、安倍政権は「森友」だの「加計」だの、実態すら怪しい「疑惑」であれほど集中砲火を浴びても持ちこたえたのだ。3割の岩盤支持層が彼を見放さなかったからだ。

 ところが、石破首相とその側近たちは、左派メディアの「処分が足りない。反省していない」という声を真に受けて、自らの権力闘争にも利用できると踏んで、勝負に出た。石破氏は賭けに負けたのである。所詮、左派メディアと左派的浮動票、岩盤左派層は、立憲民主党と石破自民党のどちらを選ぶか、といえば立憲民主党であり、共産党であり、れいわ新選組なのである。岸田文雄・前首相にも同様のことが言えたが、彼ら自民党左派は、過度に朝日新聞などの左派メディアの声に忖度しすぎるきらいがある。まんまと彼らの罠に嵌り、自民党の力を減殺させ、国を危機に陥れているのが石破茂という男なのである。

 株価が暴落すると、石破首相は「アベノミクスを踏襲する。岸田路線を受け継ぐ」と言わざるを得なくなった。ここで「岸破政権」となる運命は決定づけられた。「アジア版NATO」構想や、女系天皇容認などは封印せざるを得なくなった。旧安倍派の力は大幅に削がれるだろうが、それでもゾンビのように国会に戻ってきた残党が、このまま黙っているとは思えない。

 また当落線上にある高鳥修一氏や萩生田光一氏といった面々のうち、予想より当選者が多くなれば、彼らの応援に東奔西走していた高市早苗氏の求心力は飛躍的に高まる。石破政権はすでに終わっているのである。

 応援演説のため新潟5区に入り、高鳥修一氏の手を高々と掲げる高市早苗・前経済安全保障担当相=16日、新潟県南魚沼市(三枝玄太郎撮影)



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