… … …(記事全文4,267文字)【トラック荷台輸送事故で分かる自衛隊の人命軽視】
岩手駐屯地 2010年10月に発生した トラック荷台人員輸送時に発生した落下事故。ろっ骨を3本折る重傷にもかかわらず、公務災害を適用されなかった被害者である元隊員の証言を動画にしました。この時、岩手駐屯地から救急車で運ばれる際に、消防隊員たちが救命活動のために戦闘服を切断したことに対して、自衛隊側は負傷した隊員に「お前の不注意で官給品を破損したことについて処分する」と通告。公務中の事故に対して、隊員の負傷への責任を取らないだけでなく、物品破損を問題視する自衛隊。
自衛隊の中で隊員負傷事案がどれだけ軽くとらえられ、それ以上に物品管理の細かい規則が重大だと考えられているかがわかる動画です。この事案を例に他の自衛隊での事故対処の問題についても説明しています。
自衛隊という組織にあって、「命を顧みず」と宣誓したことで、「自衛隊員の命は軽視していい」という認識があるのではないかと不安になります。
トラック荷台での人員輸送時の問題点 第2回 (負傷した隊員より戦闘服破損を問題視する自衛隊) https://youtu.be/NFDtzm1Au_I?si=sd80UqSyFKH5osnW @YouTubeより
【自衛隊員のトラック荷台輸送と負傷例】
動画では、元陸上自衛隊衛生幹部であった照井資規氏が、「20年間自衛隊にいたんですが、その中で(照井氏の知る範囲で)5人の方が亡くなってます。自走無反動砲が川に落ち、水没して2人亡くなった。このトラックの後ろと整備台に隊員が挟まって死亡した例。女性の隊員が装甲車の低圧設置タイヤの強い空気圧でタイヤが 跳ねて、女性隊に飛んできて下敷きになった事件を知っています。」
「自衛隊の幌のかかったトラック荷台輸送では結構な大きさのものがスポンと落ちます。モノが落下することは危険ですが、隊員も落ちます。急ブレーキを踏ま れたことが20年の人生自衛隊人生の中で5回ぐらいあったんですけど、後ろに乗ってた 人がキューっと圧縮されましたね。 寝てるところを一気に 運転席側にぎゅって圧縮されるので、怪我が運よくなくて良かったですが、下手したら腕を捻挫したりしますよ。」
と動画中で照井資規氏は語っている。
トラックは人を運ぶ安全装置は基本的に運転席にあっても荷台にはありません。 荷台では落ちるよりも、さらに確率が高い急ブレーキが問題です。急ブレーキを踏まれると、荷台に積んである荷物も人も吹っ飛びます。横座りだと保安基準でベルトは要らないことになっています。路線バスも横座りだとシートベルトがありませんが、その基準で自衛隊のトラック荷台輸送にも基本的にはシートベルトはありません。
自衛隊としては、わざわざ人員を移動させるだけのためにバスで輸送するより、モノと一緒に運んだ方がコストは安くつきます。隊員の安全は二の次になっているのが現状です。
「転がったり 落ちたりするリスクのためにわざわざバス輸送を考えるよりも、事故が発生した時だけ損害賠償払っているほうがコスト的に安くつきます。昔のブラックな工事現場の安全基準の感覚のままですね。」
ここで動画で照井氏が語っているように車両から降りる際に、足が引っ掛かり頭から落下し、肋骨3本を折る重傷となった事例の話となる。こちらは動画をみていただきたいとおもうが、頭はヘルメットをかぶっていたので守られましたが、肋骨をおって呼吸ができない状態にあった照井資規氏に対して、救急車を基地内に入れるかどうかでもめるやりとりもあります。
自衛隊は防衛医大を抱え、専門の医療スタッフをもっていますし、自衛隊の車両には救急車もあります。このどちらもが機能していないこともここでよくわかります。有事に自衛隊内で負傷者がでてもこのような対応になるのでしょう。ろっ骨を折っている場合、10分で人が死ぬ場合があります。救急車はその後30分かけて岩手大病院まで彼を搬送しました。
その後、呼吸ができずベッドで固定され、「公務災害認定」の手続きすらできない照井資規氏に対して、上官が「よかった!この事故は公務災害認定にならないことが決まった!」と病室に駆け込んでくる経緯。救急隊員がろっ骨を折っている照井氏への応急処置をするために戦闘服を切ったことに対して「懲戒」も視野にいれて検討を始めていたことも動画にありますのでぜひ、見てみてください。
自衛隊は人命よりも、救命措置のために官給品の戦闘服を故意に損壊させたことを問題視する組織であったという一例です。