… … …(記事全文4,413文字)懐中電灯は支給されたが電池は自腹の怪
【自衛隊と経費自腹の構図】
自衛隊員から、能登半島地震の災害支援で夜間作業用の懐中電灯が無いという話を聞いた。国会議員を通して、発災直後から自衛隊へその対応を申し入れた。
一部の部隊では、部隊単位でヘッドライトを購入している場合がある。しかし、ほとんどの部隊では、当直用や非常用に数本の懐中電灯が置かれているだけだ。必要人数分は備えていない。また、自衛隊が使っているのは古い懐中電灯で、機能がほとんどない上に光度も低い。ただし、一部の特殊部隊の隊員には優先的に物品が支給されているため、全く無いとはいえない。
こういう場合、一部でも懐中電灯があれば、自衛隊は「懐中電灯はある!」と豪語する。そのため、予算化されることもない。
自衛隊員は日頃から、「給料は自分の仕事のために使う必要があるから、無駄遣いはしないように!」と教育されている。職場には、必要な物品は自分のポケットマネーから買うのが当然という空気があり、それを簡単に変えることはできない。多くの隊員は同調圧力に負けて、訓練用の消耗品や必要な物品を自腹で揃えている。
当然、私物に対して経費精算する仕組みはない。「勝手に買った物だから勝手に電池等の消耗品も自分で買え」という職場だ。この方法で、自衛隊は職場の経費を節約している。
この状況を打開したいと懐中電灯等を含めて、能登半島地震の備品不足を国会で取り上げていただいた。その結果、能登半島地震の災害派遣では隊員分の懐中電灯が支給されたようだ。現在、災害派遣対象外の隊員達にも懐中電灯の支給が拡大されつつある。
〇こちらが今、少しずつ自衛隊員に支給されている懐中電灯だ。明るさは35ルーメンで、どうにか夜道を照らせるくらいのライトだ。300ルーメンくらいあれば安心して暗闇でも照射範囲も広く作業もできる。必要な光度の10分の1程度の懐中電灯だが、無いよりはマシだ。
だが、別の問題がある。
災害派遣時の経費は災害派遣要請をした自治体から支払われる。だから災害派遣の現場では、電池にも不自由することはなかったはずだ。
しかし、災害派遣以外では、よほどのことがないと部隊の懐中電灯に電池は支給されない。基本的には「使いたいなら自分で電池を買え!」という考えだ。
もともとが、必要な物品を自腹購入する伝統が染みついている。懐中電灯を支給してあげたことを感謝しなさいというくらいの態度だ。
自衛隊には、職場で使うモノには職場の経費を使うという感覚が無い。Xで自衛隊のことを「自(費)で(防)衛する隊」と言っている投稿があったが、そういわれても仕方ない。