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2024年6月5日、バイデン大統領の「台湾有事に武力使用を排除せず」の発言が大きな話題になった。ただし、これが初めてのことではない。2022年のペロシ下院議長の台湾訪問後、2022年9月18日に「中国が台湾に侵攻した場合にアメリカ軍が守るか」のインタビューに対して、バイデン大統領が「台湾を防衛する」と明言したことがある。
しかし、2024年1月13日に台湾総統選で頼清徳氏が当選した際、バイデン大統領は「米国は台湾の独立を支持しない」と述べた。頼清徳氏は中国と距離を置く与党・民主進歩党(民進党)だ。RPC(中華人民共和国「People's Republic of China」) の一つの中国路線に対して前総統の蔡英文氏よりもさらに強く中国に反発している政治家だ。
頼清徳氏は就任演説で「96年(1996年)の今日、台湾で初めて民選による総統(李登輝)が宣誓就任し、国際社会に中華民国台湾は主権独立国家であり、主権は民にあるというメッセージを伝えました」と言っている。
頼清徳氏の台湾総統就任式に、バイデン大統領はアメリカ政府の元高官などによる超党派の非公式の代表団を派遣した。その上で、バイデン大統領は「従来からの『1つの中国』政策に沿ったもので慣例通りだ」と言っている。
このバイデン大統領の発言には台湾を国家として認めているのか、認めていないのか、スッキリとしない違和感を持つ人も多いだろう。それがなぜかを解説する。