… … …(記事全文4,747文字)レプリコンワクチンの製造販売元Meiji Seikaファルマの現役社員が書いたベストセラー『私たちは売りたくない “危ないワクチン”販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭』(方丈社)について、「複数の社員からなる著者グループ“チームK”は実在せず、著者は一人だった」「捏造本だ」などと、反「反ワクチン」の人たちが騒いでいる。
「スピリチュアルビジネス、偽医学・疑似科学、反ワクチン・陰謀論、デマや雲散臭いもの」をウォッチ対象としているというウェブライター、漫画原作者の「黒猫ドラネコ」なる人が、日刊ゲンダイDIGITALに書いた記事「【独自】著者グループは架空? ベストセラー「反ワク本」に捏造疑惑浮上…製薬会社が調査結果公表へ」(2024年12月18日付)がきっかけだ。
翌日、Meiji Seikaファルマも、「書籍に関する社内調査より判明した事実について」と題したプレスリリースをホームページにアップした。「1.執筆に関わった社員は一人であり、チームKは実在しない」「2.著者はチームKの名前の由来となった元社員(故人)とは面識及び業務上の接点はなかった」「3.数年前より新型コロナワクチンに反対する動画等を複数配信していた」「4.ワクチンに反対する人物と別の共同書籍も出版していた」旨の調査結果を公表。そして、版元の方丈社に対して「同書籍を正確な記述に訂正する要請をしている」ことも明かした。
ここまで公にされたので、わたしも正直に事実を伝えたい。わたしは「チームK」が誰なのか、本が販売される前から知っていた。著者から連絡があって、刷り上がったばかりの本を直接渡されたからだ。そして、「いずれ正体がバレるかもしれないが、それまで誰にも話さないでほしい」とお願いされていた。わたしは今日まで、その約束を守ってきた。なぜなら会社に正体がバレると閑職に追いやられ、退職に追い込まれるなど、人生を左右するような不利益を被る恐れがあるからだ。
わたしは著者のことを心から応援し、著者の立場を守りたいと思った。なぜならすぐに本書を読んで、素晴らしい内容であることがわかったからだ。いわゆる「反ワクチン本」の中には、残念なことに憶測に基づく記述や、科学的でない論評、論理的飛躍のある主張をしているものもあるのは確かだ。だが、この本は著者も書いている通り、厚労省など政府の統計や審議結果、製薬会社の治験結果、すでに報道されている内容など、裏付けのある確かな情報に基づいて書かれている。
そしてなにより、ファイザーのワクチンを接種してから3日後に、26歳という若さで亡くなった同僚・影山晃大さんと同じ悲劇を繰り返さないでほしい、そのためにもコロナワクチンのリスクについて国民にきちんと知ってほしいという真摯な願いが、本書から伝わった。レプリコンワクチンを売るよう命じたMeiji Seikaファルマに対しても、私怨をぶつけるような内容ではなく、「薬害で訴えられるようなことにならないでほしい」「自分たち社員が誇りを持って働ける会社であってほしい」というメッセージが向けられている。
わたしは著者と何度も話してきたので、非常に賢明で誠実な人柄であることをよく知っている。その人柄が本の内容にもよく表れている。そもそもこの本は、「告発本」でも「反ワクチン本」でもない。コロナワクチンを批判する言説のすべてが「偽医学・疑似科学、反ワクチン・陰謀論、デマ」だと思い込んでいるのだとしたら、それこそ非科学的で、陰謀論に嵌っていると言わざるを得ない。黒猫ドラネコ氏をはじめとする反「反ワクチン」の人たちにも、ぜひ色眼鏡で見ずに曇りのない目で本書を読んでほしい。そして、反論があるのならば、その主張の中身について、真正面からぶつかってきてほしい。
それにしてもなぜ、著者は「チームK」なる名称を使って、複数であるかのように見せたのか。
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