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X(ツイッター)では言えない本音

鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

#67 レプリコンが売れないのは【反ワクチン】のせい? ~Meiji Seikaファルマ社長インタビューのウラを読む~

2024年11月26日、Meiji Seikaファルマの小林大吉郎社長のインタビューが「東洋経済OONLINE」に全文無料公開され、X(旧ツイッター)で話題を呼んだ。タイトルは「『レプリコンワクチンのデマに徹底的に対抗する』」。小林氏が「残念ながら、重篤な副反応が起きる確率もまれにあるのは事実」とリスクを認める一方で、「ワクチンを打つべきだとちゃんと伝える必要がある」などと語っていたため、コロナワクチンに反対する人たちからの批判の投稿が相次いだ。

 

わたしもこれを読んで、ワクチンの安全性に対する我彼の認識のギャップの大きさをあらためて実感した。なかでも「それは違うだろ」と一番思ったのが、この冒頭の部分だった。

 ***一部抜粋引用***

――10月に新型コロナワクチンの定期接種が始まりましたが、当初の想定より需要が少なくなっています。

予想していたよりも、接種数がはるかに少ない。しかし、来年以降、ワクチンに対してのデマや誹謗中傷が除外された後に、きちんと評価されると期待している。

問題は、反ワクチン派の人たちがデマを広めたため、インフルエンザワクチンなどほかのワクチンの接種率も低くなっていること。接種機会を逃して(新型コロナやインフルエンザで)亡くなる方も出るだろう。

***引用終わり***

 

小林社長は、コロナワクチンやインフルエンザワクチンの接種率が低迷しているのを「反ワクチン」のせいにしている。小林社長の言う通り、明らかに間違った情報を鵜呑みにして、接種をやめた人がいるかもしれない。だが、そんな人はごく一部だ。コロナワクチンを打つ人が減った最大の理由は、多くの人が「ワクチンを打つのはもう懲り懲りだ」と感じているからだとわたしは思う。

 

政府や医学界は「国民の7、8割が打てば集団免疫が達成され、コロナの流行が収束する」などと説明して、ワクチン接種を強力に推し進めた。それを信じた多くの国民が、頭痛、発熱、倦怠感など強い副反応に耐えて、コロナワクチンを4回も5回も打った。にもかかわらず、コロナの流行は収束するどころか、第7波で最多の陽性者、第8波で最多の死者を数えた。そして、この夏にコロナは第11波を数え、相変わらず流行を続けている。さすがに多くの国民が、「こんなワクチンを打っても無駄だ」と気づいたはずだ。

 

それに加えて、コロナワクチン接種後に健康被害を受けた人の話が、ニュース、SNS、そして口コミで広がっていった。効果を実感できないどころか、健康まで害する恐れのあるワクチンを、どれほどの人が打ちたいと思うだろうか。しかも、ワクチンをゴリ押しした政府、医学医療界、ワクチンメーカー、オールドメディアは、健康被害をなかったことにしようとしている。そんな不誠実な者たちの言うことを、いつまでも鵜呑みにする人は少ない。コロナワクチンに対する信頼を失わせたのは、コロナワクチンをゴリ押ししてきた者たち自身なのだ。

 

すでにコロナワクチンは、医療従事者からも見放されようとしている。2024年11月25日、谷口医院院長の谷口恭氏が、毎日新聞に連載中のコラム「総合診療医の視点-命を救う5分の知識」で、「新型コロナワクチン、医療者はどれだけ接種しているのか」というタイトルの記事を書いていた。残念ながら接種率がわかる客観的なデータは存在しないが、谷口氏はコラムの中で、「私が見聞きする範囲では、接種者は驚くほど少ないのが現状です」と明かしている。

 

医学部の非常勤講師も務めている谷口氏が1回生たちに質問したところ、「コロナワクチンの接種を受けた」と答えた学生はゼロだった。また、臨床実習に出る5、6年生数人にも質問をしたところ、全員が「自分は打っていないし、身の回りで打ったという学生も知らない」と答えたという。さらに、患者として谷口医院を受診した医療従事者にも質問してみたところ、こちらも接種を受けた人はゼロ。大病院の感染症を担う医師も、「希望者はほとんどいない」と答えたそうだ。

 

社会に対して、あれだけ猛烈に接種をゴリ押ししたにも関わらず、医療従事者すらコロナワクチンを自らには打たなくなっているのだ。「患者にうつしてはいけない」という使命感から、何度も打った医療従事者が多かった。ほんとうに安全で有効であれば、たとえ有料になったとしても、率先して打ち続けるはずだ。そんな彼らでさえ、本音では「こんなワクチンはもう懲り懲りだ」と思っているに違いないのだ。ところが、自分たちの利益のためか、あるいは保身のためか、多くの医療従事者がこっそり「反ワクチン」へ宗旨替えしたことに口をつぐんでいる。国民の健康を守る使命を持つ彼らのこの態度を、わたしは卑怯だと思う。コロナワクチンを打たなくなったなら、その理由を正直に国民に話すべきだ。

 

レプリコンワクチンに限って言えば、「mRNAワクチン中止を求める国民連合」を発信源とするレプリコン反対運動が、その危険性を広めるのに一定の役割を果たしたのは間違いない。だが、それ以前にレプリコンワクチン(Meiji Seikaファルマの「コスタイベ」)は、臨床現場で受け入れられなかった。1バイアルを16人分に分けて、6時間以内に使い切らねば廃棄という効率の悪さが敬遠されたからだ。小林社長は自分たちが売りたい製品の「欠点」をあまり広めたくないのだろう。会見やインタビューではそれにはまったく触れず、売れない原因をすべて「反ワクチン」に押し付けているように見える。

 

ただ、ここからがわたしが本当に言いたいことなのだが、小林社長がコスタイベの販売不振を反ワクチンのせいにしているのは、それだけが理由ではないと思うのだ。実は、今後の訴訟のことも視野に入れているのではないだろうか。

… … …(記事全文5,397文字)
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