… … …(記事全文5,055文字)2024年9月12日、厚生労働省の薬事審議会医薬品第二部会で、Meiji Seikaファルマのレプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」のオミクロン株「JN.1系統」が承認された。これで、この10月からの定期接種で使用される5社のJN.1系統コロナワクチンが、すべて出そろった。
X(旧ツイッター)の一部の反ワクチン界隈では、「バイオテロが来る」「破滅への序章」と大仰に反発していたが、JN.1系統が承認されるのは規定路線であり、驚くべきことでもなんでもない。とにかく、レプリコン、レプリコン、レプリコンと、レプリコンワクチンを止めることこそが至上命題と言わんばかりの騒ぎ方だ。
だが、このウェブマガジンの読者はご存じの通り、わたしはコロナワクチンに反対する立場として、そうした偏った反対の仕方に危惧を表明し続けてきた。この10月からの定期接種では、レプリコンワクチンばかりが使われるわけではない。むしろレプリコンのシェアは伸びず、ファイザー製ワクチンが圧倒的なシェアを占める可能性が高い。
コロナワクチンの接種回数を重ねる人が増えれば、また、健康被害に苦しむ人が増えるだろう。レプリコンワクチンの伝播のリスクさえなくなればいいというわけではない。LNP-mRNAを基本の仕組みとするファイザー、モデルナ、第一三共、Meiji Seikaファルマのワクチンはもちろんのこと、武田薬品の組み換えたんぱくワクチン(ヌバキソビッド筋注)もスパイクタンパク質を抗原として使っている限り、健康被害が起こり得る。我々はすべてのコロナワクチン接種を中止するよう、政府厚労省に求めていかねばらないはずだ。
それに、レプリコンワクチンばかりに目が奪われてしまい、コロナワクチンの健康被害に苦しみ続けている人たちの救済を求める訴えが、置き去りになっているようにも感じる。そもそも、健康被害を受けた人たちのほとんどが、ファイザー社とモデルナ社のワクチンを打っているのだ。その責任こそ、厳しく追及していくべきではないか。そしてそれこそが、一般社会に対して強い説得力を持つはずだ。
さらに、反ワクチン勢力がレプリコンワクチンばかりを目の敵にしている状況は、むしろファイザー社を喜ばしている。反ワクチン勢力が勝手に、競合他社を追い落としてくれているのだ。そんな、利敵行為をしているとしたら、あまりにバカバカしいではないか。歪んだ現状認識に基づく運動の方向性をあらためてもらうためにも、10月からの秋接種でどんなコロナワクチンがどれくらい供給される予定なのか。そして、実際に市場やメーカーがどう動いているのか、あらためて情報を整理したいと思う。
まず、10月からの定期接種で予定されている各社のコロナワクチンの見込み供給量を確認しておこう(厚生労働省「2024/25シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給量について」第35回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会2024年9月2日資料1)。
<mRNAワクチン> 約2527万回
ファイザー株式会社「コミナティⓇ」
モデルナ株式会社「スパイクバックスⓇ
第一三共株式会社「ダイチロナⓇ」
<組み換えタンパク>約270万回
武田薬品工業株式会社「ヌバキソビッドⓇ」
<mRNA(レプリコン)>約427万回
Meiji Seikaファルマ株式会社「コスタイベ🄬」
厚労省は2024/25シーズン(令和6年度)のコロナワクチン供給量を全体で約3224万回と見込んでいる。そのうち、もっとも供給される見込みなのが既存のmRNAワクチンだ。各製品別の内訳は書かれていないが、合せて約2527万回、全体の約8割(78%)を占める。その次に多いのがレプリコンだ。約427万回だから、全体の約13%ということになる。そして、武田の組み換えたんぱくが約270万回で約8%。
だが、この数字はあくまで供給量の「見込み」であることに注意が必要だ。実はすでに、各社が医療現場や自治体に売り込みをかけている。その現状について、医薬業界の関係者から直に話を聞く機会があった。その証言によると、Meiji Seikaファルマのレプリコンワクチン(コスタイベ筋注用)は、「ほとんど売れてない。かなり苦戦している」のだそうだ。
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