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鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

コロナワクチンが引き起こした「神経の病気」 ~大分県立病院の症例報告論文より~

コロナワクチンの関与が疑われる疾患について、世界中で3000を超える症例報告の論文が出ているのは周知の事実だ。これについてはご存じの通り、一般社団法人ワクチン問題研究会の研究グループが論文にしている(小西菜普子他「COVID-19ワクチンの副作用: 日本における学会発表と世界における 論文報告の現状」臨床評価 51巻3号 2024)。

 

その中で報告された疾患としてもっとも多かったのが「血小板減少症」や「深部静脈血栓症」をはじめとする「血液の病気」だ。そして、次に多かったのが「ギラン・バレー症候群(GBS)」や「急性散在性脳脊髄炎(ADEM)」といった「神経の病気」だった(ちなみに、3番目が「血管の病気」、4番目が「その他」、5番目が「心臓の病気」)。

 

『薬害「コロナワクチン後遺症」』(ブックマン社、2023年1月末)を執筆する際に、わたしはコロナワクチン後遺症を訴える人を多数インタビューさせていただいたが、そのなかにも、「接種後に立てなくなった」「うまく歩けなくなった」「力が入らず筋肉がピクピクする」「集中力や記憶力が低下した」など、神経の病気を疑わせる症状の人が非常に多かった。

 

また、同書の取材を通じて、関東地方にある某病院に勤務する神経内科医から、コロナワクチン接種後に神経系の自己免疫疾患が増加したという証言も得ていた(前掲者184~187ページ参照)。なので、コロナワクチンの関与が疑われる症例として、「神経の病気」の報告が多いことは、わたしの取材を通しての印象ともよく合致していた。

 

そしてこのたび、コロナワクチンによって神経の病気が引き起こされることを、さらに確信させる論文が報告された。大分県立病院脳神経内科の麻生泰弘医師らによる「COVID-19ワクチンの神経学的合併症に関する臨床的検討」(大分県立病院医学雑誌51:32~38、2024)だ。麻生医師がX(旧ツイッター)で発信していることを、わたしのフォロワーさんの一人から教えてもらい、今回、ご本人に連絡をとって論文を送っていただいた。

 

この論文が重要だと思うのは、同科に所属する5名以上の神経内科医が検討して、コロナワクチンの合併症(ワクチン接種後症候群)であると診断した症例に絞って報告していることだ。つまり、最初からコロナワクチンに反対している医師が、独りよがりで報告したものではないのだ。具体的には、「接種後30日以内の発症」「他疾患である可能性の除外」「時間的な整合性」「既報による類似症例の存在」「各疾患の診断基準に矛盾しない」などの条件に基づいている。

 

2021年6月1日~23年3月31日の22ヵ月間に同科へ入院した689例(男性368例、女性321例)を検討の結果、「コロナワクチン接種の神経学的合併症」と診断された症例が22例(男性12例、女性10例)あった。その中には、次のような疾患があった。

 

「脳炎脳症」(4例)、「急性散在性脳脊髄炎」(4例)、「脳梗塞」(3例)、「ギラン・バレー症候群」(2例)。「VSV(水痘・帯状疱疹ウイルス)髄膜炎」(2例)。そのほか、「パーキンソン病の増悪」「多発性硬化症の再発」「重症筋無力症」「クロイツフェルト・ヤコブ病」「てんかん」など。

 

論文には、コロナワクチンの合併症と診断された22の症例について、年齢、性別、診断、発症までの期間、基礎疾患、臨床経過を一覧にした要約の表が、ほぼ1ページを割いて掲載されている。その中から、いくつか印象的な症例を引用させていただく(表2 COVID-19ワクチン接種後に神経学的合併症を発症し、当科への入院を要した22例の要約)。

 

No.6【食思不振、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、脳梗塞)】66歳男性

1回目(mRNA,P社)接種後に食思不振。2回目(mRNA,P社)接種後に歩行困難、不穏、幻視などが出現。頭部MRIにて中脳水道周囲などにT2W1高信号病変、さらに急性期脳梗塞巣を認めた。

 

No.14【VZW髄膜炎】33歳男性

3回目(mRNA,P社)接種の翌日に発熱・倦怠感が出現。徐々に増悪したため、6日後に当科受診。髄液検査で細胞数と蛋白の高値が認められ、Film Array検査でVZV-DNAのPCRが陽性であった。

 

No.15【ギラン・バレー症候群】80歳男性

3回目(mRNA,M社)接種の数時間後より両下肢の脱力が出現。その後構音障害や起立・歩行困難も出現し、当科を受診した。髄液検査では蛋白細胞分離を、NCS(注・神経伝導検査)では脱髄性多発神経障害の所見を認めた。

 

No.17【急性散在性脳脊髄炎】53歳女性

3回目(mRNA,M社)接種の翌日から発熱し、7日後に頭痛と嘔気も出現した。下肢脱力も出現し10日後に前医を受診。髄液検査では細胞数と蛋白が高値であった。MRIでは頸髄に多発する病変あり。

 

No.21【クロイツフェルト・ヤコブ病】71歳男性

4回目(mRNA,P社)接種の9日後から急に認知機能低下。画像・脳波検査で典型的所見を認め、髄液の総Tau蛋白、14-3-3蛋白、QUIT法はいずれも陽性。約1ヵ月の経過で無動性無言状態になった。

 

これらの経過を見てまず思うことは、22例の一人一人が、想像を絶するほど苦しく、恐ろしく、不安に苛まれ、悔しい思いをしているだろうことだ。ご家族もほんとうに辛いだろう。麻生医師によると、完全に寛解して後遺症もなく過ごしている人がいる一方で、寝たきりになって他の療養病院で介護を受けている人や、継続した治療が必要な人も多くいるという。麻生医師はメールに「許せない気持ち」と書いていたが、わたしも同感だ。

 

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