… … …(記事全文4,942文字)〈Dr.わったー 歯科医師 渡辺 聡(42歳)尾崎豊コレクター〉さんのX(旧ツイッター)への投稿で知ったのだが、「医師に相談できるQ&Aサイト AskDoctors」に、衝撃的な相談が掲載されていた。9歳の女の子が「マスク依存症」になっているというのだ(掲載日は2024年6月17日)。
女の子は給食を食べるときも、笛を吹くときもマスクを着けたままだ。素顔になるのは家族の前だけで、親戚が家に来たときもマスクを外さない。友だちの家にお泊りに行って、寝るときもマスクをする。プール開きの日には学校に行きたくないと泣いて見学にしてもらい、運動会、修学旅行、林間学校にも行きたくないと言う。
どうしてこうなってしまったのか。小学1年生のとき、マスクを外した際に同級生から「変な顔」と言われたことが原因だという。母親が「変な顔じゃないよ」と諭しても、「ママは家族だから言うんだよ」と返すのだそうだ──まだ小学生なのに自分の顔に自信が持てなくて、マスクを外せなくなった女の子のことを想像すると、とても不憫に思う同時に、マスクを着けるだけ着けさせて、ほったらかしにしてきた大人たちの無責任さに憤りを覚える。
この女の子だけではないはずだ。わたしの自宅の近くに中学校があるのだが、下校途中の様子を見ていると、屋外にもかかわらずマスクをしている生徒が今もかなりいる。女子のほうが割合は多い印象だが、つい最近も立ち話をしていた4人の男子全員がマスクをしており、びっくりした。あの女の子と同じように、「友だちに素顔を見せたくない」という理由でマスクを外せない生徒が、かなりいるのではないだろうか。
私たちが常時マスクに反対してきたのは、感染予防のエビデンスに乏しいだけでなく、こうした事態も危惧してきたからだ。各種の調査結果から、ただでさえ日本の若者は他国に比べ自尊心が低いと指摘されてきた。このままでは大人になっても自分の顔に自信が持てず、異性と上手に関係が持てない人や、メンタルにも悪影響が及ぶ人が増えるのではないだろうか。
個人だけでなく、社会にも悪影響がある。風邪をひいてもいないのに常時マスクの着用を肯定するのは、「人を見たらウイルスと思え」という思想を植え付けることにつながるからだ。「他者からうつされるかもしれない」「自分も誰かにうつすかもしれない」──学校で感染予防ばかりを勧めるのは、そんな疑心暗鬼の目でお互いを見ることを、子どもたちに教えているようなものだ。学校は仲間との触れ合いや信頼関係を築くことの大切さを学ぶところではなかったか。
「マスクを外したくてもはずせない」「素顔だと不安で落ち着かない」というところまでいくと、精神医学的には「社会不安性障害」あるいは「強迫性障害」と診断がつけられるかもしれない。そうなると、もはや学校では手に負えない。先生が「マスクを外しなさい」と言えば、逆に本人を追い詰めることになりかねないからだ。常時マスクを放置したツケは、それほど子どもたちの心に深刻な悪影響を与えている。「そんな大げさな」と言われるかもしれないが、私は真剣に心配している。
マスク依存社会から脱却するためにはどうすればいいか。まずは大人たちがどんな場所でも率先してマスクを外して、堂々と素顔を見せることだ。なかでも早く外してほしいのが、外食チェーンをはじめとする飲食店の従業員たちだ。コロナ騒ぎが始まってからというもの、調理係だけでなく接客係まで、多くの従業員がマスクを着け続けている。
食べ物を扱うのだからマスクを着けた方が衛生的だと肯定する人もいるかもしれない。だが、思い出してほしい。コロナ騒ぎの前は接客係だけでなく、調理係も含めて、ほとんどの従業員が素顔で働いていた。それが食中毒や風邪まん延の原因になるなんて聞いたことがない。客も従業員のノーマスクを気にもとめていなかった。むしろ、マクドナルドの「スマイル0円」に象徴されるように、顧客満足のために従業員の笑顔は推奨されてきたのだ。
ところが、コロナ騒ぎで厳しい感染対策が求められるようになると、従業員がマスクを着けるのが当たり前となった。手指のアルコール消毒とアクリル板のパーテーションはさすがにあまり見なくなったが、従業員のマスク着用だけは、なぜか根強く残っている。どうしてなのか。つい最近、ある全国チェーンの喫茶店に行った際、接客係の女性に聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。
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