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X(ツイッター)では言えない本音

鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

「全国有志医師の会」を色眼鏡で見るべきではない ~ウィンメディックス事件をめぐって~

新型コロナワクチン接種事業の即時中止を求める医師たちで組織する「全国有志医師の会」が、「反・反ワクチン」派の医師やシンパなどからX上で非難のターゲットとなっている。ウィンメディックスなる会社が主催する講演会に、同会の下部組織である「中部有志医師の会」の代表が登壇者として参加していたことが拡散されたのがきっかけだ。

 

ウィンメディックス社は、「がんに効く」というヨウ素水なる健康食品を販売し、同社の株を買えば安く買えるなどと持ちかけ、がん患者や家族に高額なお金を払わせていた。2023年3月には、国に無登録で未公開株を売却したうえ、約1500人から集まった購入代金約7億円を寄付金と装ったとして、金融商品取引法違反で代表者らが逮捕される事件にまで発展している。

 

被害総額はおよそ80億円と見られている。現在、複数の被害者が同社の代表・役員や医師、勧誘者を被告として、損害賠償を請求する集団訴訟を起こしている。しかし現在でも、ウィンメディックス社は株主総会を開いて暗号資産の案内を始めたり、別会社に事業を引き継いで説明会を各地で開いているという情報がある(Xの「ウィンメディックス被害者の会」のアカウントによる2024年5月29日のポストより)。

 

まず前提として、国から医薬品として承認を受けていない健康食品やサプリメントを「がんが治る」などとうたって販売することは、「薬機法」(医薬品医療機器等法/旧薬事法)に違反している。それだけでもアウトだ。がんという「命」に関わる病気に罹り、藁にも縋る思いでいる患者や家族から、法外な費用をむしり取る「がんビジネス」は絶対に許されるものではない。全国有志医師の会の主要メンバーも、そして私自身もそう思っている。

 

したがって、有志医師の会の仲間が勧誘目的の講演会に関与し、会の名称が利用されたことは、極めて遺憾だ。ただし、どこまでビジネスに関与していたのか、講演会でどんな話をしていたのか、被害拡大にどれだけ寄与したのか、詳細が十分にわかっていない。不正確な情報や憶測に基づいて一会員を断罪することはできない。なので、会として何か発信ができるまで、もう少し待っていただきたい。

 

私は週1回のオンライン定例会で司会を務めるなど、同会にボランティアとして関わってきた経緯がある(現在、司会は分担制となり、月1回になったので、だいぶ負担が軽くなった)。医師ではないので全国有志医師の会の正式な会員ではないが、医療ジャーナリストである私に情報が寄せられた以上、傍観者として黙って見ているわけにはいかない。それゆえ、この問題にはできるだけ主体的に関わっていきたいと考えている。もしビジネスへの関与や講演会の内容について、有力な客観的証拠や証言があれば、このウェブマガジンのメールフォームから情報を寄せてほしい。

 

その一方で私は、全国有志医師の会に対する誤解も解きたいと思っている。そもそもウィンディックス社に、全国有志医師の会の主要メンバーはもちろん、1500人以上(うち医師462人、2024年5月31日現在)所属する会員のほとんどが関与していない。会員の多くは、同社のことやこの問題のことすら知らないだろう。私自身もウィンメディックス社の問題で有志医師の会が非難の対象となっていることを、先週5月24日(金)にXで情報提供を受けて、初めて知った。

 

それであらためてXで情報収集をしたところ、ウィンメディックス社の問題が、全国有志医師の会を「トンデモ団体」と印象づけるネガティブキャンペーンに利用されていることが分かった。「反ワクチン」や「全国有志医師の会」が憎いからといって、そのような卑怯な印象操作は許されるものではない。批判や非難は事実に基づいて行うべきだし、中部有志医師の会の代表個人の問題と、全国有志医師の会や関係する人を一緒くたにして批判するのは間違っている。

 

それに、コロナワクチンについての国の副反応疑い報告や予防健康被害救済制度の認定数を見れば、これまでのワクチンとは比べ物にならないほどの健康被害が起こっているのは明白だ。世界中から接種後の有害事象を報告した論文が3000以上も出ており、国内の医学会でも多数の症例報告が行われている。コロナワクチンの中止を求めないほうがおかしいのだ。全国有志医師の会の活動を非難される謂れはない。

 

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