… … …(記事全文4,957文字)「ワクチン被害」を誤魔化すために、「コロナ後遺症」を前面に押し出して、政治的責任を回避しようとする動きが加速しているように見える。
2024年2月20日、「コロナ後遺症の患者が最大500万人にも上る」という記事が配信された。この数字を推計したのは、コロナ感染後に体の不調で苦しむ患者をこれまでに6800人診たというヒラハタクリニック(東京都渋谷区)院長の平畑光一医師だ。
平畑医師によると治療が必要なコロナ後遺症患者は、国内の感染者の1~2割にも上るとみられるという。コロナ後遺症はもはや、がんやうつ病とならぶ「新たな国民病」であり、政府による支援の仕組みを早急に用意する必要があると平畑医師は記事で訴えている(共同通信47NEWS「コロナ後遺症は「最大500万人」リスクを訴え続けてきた医師「新たな国民病」と危機感 理解不足で孤立する患者も多く、支援態勢の整備が急務」2024年2月20日)
平畑医師のX(旧ツイッター)への投稿によると、「500万人」の根拠の一つとなったのは、厚労省の2023年の調査だという。それによると感染後に後遺症になった割合が成人で11.7~23.4%、5~17歳でも6.3%だった。この500万人という推計が妥当かどうかは別としても、コロナ感染後の体調不良が続く患者に対して適切な医療や支援の体制を提供するのは当然のことだ。それ自体には、私も異論はない。
だが、気になるのは、その平畑医師が記事の2日後に、こんな投稿をX(旧ツイッター)にしていたことだ。
「近日中に報道もあるかと思いますが、今日は全国コロナ後遺症患者と家族の会(@longcovid202311)の皆さんと公明党の厚労部会に行ってきました。公明党の国会議員の方々も幹事長含めたくさん参加され、厚労省の方も今までにないほど参加されていて、大変驚きました。国の本気度が今までとは違います。」(2024年2月22日)
そして、この平畑医師の投稿を引用して、「全国コロナ後遺症患者と家族の会(@longcovid202311)」も、Xに次のような投稿をしていた。
「本日は、公明党議員の方々、厚労省の方々、そして平畑先生、患者の会のメンバー、顧問弁護士による厚労会議に参加させて頂きました。平畑先生にはお忙しい中、ご登壇くださり誠に有難うございました。平畑先生が加わって下さったことで、各方面に対する説得力が劇的に高まったと思います」
さらに、「全国コロナ後遺症患者と家族の会(@longcovid202311)」のアカウントには、この日の会合の様子を伝える公明新聞の切り抜きも紹介されていた。そこには、次のよう書かれていた(公明新聞「コロナ後遺症 生活を支えて 医師と患者・家族会が訴え 厚労省に公明 現場の声 施策に反映を」2024年2月22日より一部抜粋)
「公明党の新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長=石井啓一幹事長)と厚生労働部会(部会長=伊佐進一衆議院議員)は22日、衆院第一議員会館で合同会議を開き、同感染症からの回復後に症状が続く『コロナ後遺症』を巡って、ヒラハタクリニック院長の平畑光一医師と全国コロナ後遺症患者と家族の会から話を聞いた」
「患者・家族会からは『地元の病院で受診を拒否され、他県の病院に通った』『労災認定に関し、職場の非協力的な姿勢で申請すらできない』『傷病手当金が支給される一年半の間に復職できず収入がなくなった』『後遺症で重度の障害者となった家族が、自殺方法を考えて泣いて過ごす日もある』などの切実な声が寄せられた」
平畑医師はXに「いろんなこと言う方がおられますが、民主党の厚労部会にもお呼びいただきましたし、石垣のり子議員とも連携させていだいています」と書いている。だが、患者・家族会の投稿や公明新聞の記事を見る限り、この日の会合をお膳立てしたのが公明党であるのは間違いないだろう。ちなみに、記事に書かれている厚生労働部会長の伊佐進一衆議院議員も公明党の所属だ。
公明党は、コロナワクチン接種を強力に推進し、その手柄を自画自賛してきた。たとえば、同党のホームページで「コロナワクチン」と検索すると、「ワクチン無料接種を実現 海外品確保『日本を救った』(識者) 一律10万円給付 山口代表が直談判し首相決断 コロナ対策」(2021年8月30日)というニュースが出てくる。そこにはこう書いてある。
X(ツイッター)では言えない本音
鳥集徹(ジャーナリスト)