… … …(記事全文4,868文字)2023年12月2日、福島市内で「がんと免疫を考えるシンポジウム in ふくしま」が開催された。私は司会を務めたのだが、とても有意義なイベントだった。とくに名古屋大学名誉教授で小児科医の小島勢二先生の講演が、素晴らしかった。シンポジウム開催に尽力したスタッフの皆様に、まずはお礼を申し上げたい。
小島先生は、厚生労働省をはじめとする公の統計と医学論文、および小児がんの診療と研究に携わってきたご自身の経験に基づいて、科学的かつ冷静に話をされた。コロナワクチンを止めんとするために、ともすれば「言い過ぎ」になる人が多いが、小島先生の話は一般の医師も「トンデモ」と一蹴はできないはずだ。ぜひ、全国各地に小島先生を招いて、できれば一般の人だけでなく医師たちにも講演を聞いてもらい、反論があれば真面目にディスカッションしてほしい。
そのシンポジウムのなかで、とても衝撃的な証言があった。ある血液内科の医師が、こんな話をしたのだ。
「白血病の患者さんが2倍くらいに増えている」
なかでも、急激に進行する「急性骨髄性白血病」が増えている印象で、通常なら奏功することの多い抗がん剤が効きにくいケースが多いという。その医師によると、他の血液内科医も「最近、白血病が多いよね」くらいの認識は持っているという。ただ、コロナワクチンとの関連性に気づいているかどうかはわからない。
この白血病増加の証言は、小島先生が講演で語った内容を踏まえてのものだ。コロナワクチンに懐疑的な医師などの間で、接種後に急激にがんが増悪する、いわゆる「ターボがん」が増えていると言われている。X(旧ツイッター)等で「ターボがん」と書くと、「ワクチン激推し医」からは、「医学用語にはない」「論文になっていない」「エビデンスはない」などと攻撃されるのが常だ。
そこで小島先生は、厚労省の人口動態統計のデータに基づいて、ワクチン接種前の2020年と比べて、2021年と2022年に本当にがんが増えているのかを検証した。その結果、全がん死は減少しており、とくに「肝がん」と「胃がん」が減っていた。しかし、なかには著しく増加しているがんもあった。増加率の高いものから、「膵がん」「白血病」「乳がん」「卵巣がん」「子宮がん(子宮体がん、子宮頸がん)」だ。そのなかで、膵がん、卵巣がんは接種前から一貫して増えているが、乳がん、子宮がん、白血病は接種後に急峻な増加が見られると小島先生は指摘している。(以下の内容は、小島勢二「コロナワクチンの接種により、日本のがん死亡は増加したか? | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)」2023年6月8日に基づいている。そちらもぜひお読みいただきたい)。
ではなぜ、これらのがんが増えたのか。その有力な仮説の一つと考えられるのが、「エストロゲン受容体」の関与だ。最近の研究で、新型コロナウイルスのスパイクタンパクが、ACE受容体だけでなく「エストロゲン受容体」に結合することが明らかになった。そして、スパイクタンパクを乳がん細胞にふりかけると、エストロゲンをふりかけたときと同じように、乳がん細胞株が増殖することが確認された(Oscar Solis et al:The SARS-CoV-2 spike protein binds and modulates estrogen receptors. Solis et al., Sci. Adv. 8, eadd4150 (2022) 30 November 2022)。
X(ツイッター)では言えない本音
鳥集徹(ジャーナリスト)