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鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

【レプリコンワクチン】に飛びつくな! ~新薬こそ「リスク」であることを知るべきだ~

この11月27日、厚生労働省の専門部会が、世界で初めて新型コロナの「レプリコン(次世代型mRNA)ワクチン」を薬事承認した。レプリコンワクチンの情報を耳にしてから1年足らず。「早かった」というのが、率直な感想だ。これについて、私が言いたいことは、ただ一つ。とにかく、一人でも多くの人に「飛びつくな!」と伝えてほしい。

 

コロナワクチンを疑い、情報収集してきた人はすでにご存じかもしれないが、「レプリコン」は「複製・コピー」を意味する「レプリカ」から来た言葉だ。コロナワクチンの突起部分である「スパイクタンパク」の設計図(遺伝子)を書き込んだmRNAを体内に送り込み、接種されたヒトの細胞にスパイクタンパクを作らせる仕組みは、従来のファイザーやモデルナのコロナワクチンと変わらない。

 

だが、レプリコンワクチンはスパイクタンパクをつくるだけでなく、mRNAが自らをコピーして増幅する仕組みを持っている。そのため、投与するmRNAの量が従来よりも少なくてすみ、それによって副反応を減らすことができると期待されている。その一方で、mRNAがどんどん増えるので、抗原であるスパイクタンパクがたくさん作られて、長期間、免疫(抗体価)が維持されるという触れ込みだ。

 

今回、厚労省が承認したのは、米創薬ベンチャーのアークトゥルス・セラピューティクス社が開発したレプリコンワクチン「ARCT-154」(商品名コスタイベ筋注用)で、日本の製薬子会社Meiji Seikaファルマ(東京)が製造販売の承認を申請していた。それを医薬品製造受託会社アルカリスが福島県相馬市に建設した工場で製造し、来2024年10月までに、つまり次のコロナワクチンの秋接種に間に合うように、供給開始をめざすという。

 

製造販売承認取得を知らせるMeiji Seikaファルマのプレスリリース(2023年11月28日付)には、「(筆者注・mRNAの)増幅期間は短期であり、安全性に問題は認められていません」と書かれている。さらに、国内で実施された治験(追加免疫第Ⅲ相臨床試験)で、「接種量が少ないため安全性プロファイルも良好な結果が得られています」「有害事象の多くが軽度または中等度で一過性のものであり、本剤接種と因果関係がある重度又は重篤な有害事象は認められませんでした」としている。

 

だが、当たり前だが、これから新製品を大々的に売り出したいメーカーは、自分たちに都合の悪いことは言いたくない。そんなプレスリリースの内容を、何ら疑うこともなく垂れ流すマスコミの記事を読んで、「最新の技術を使ったワクチンだし、国産ワクチンだから安心だろう」と思ってしまう人が出るかもしれない。だが、マスコミが持ち上げる「最新の技術」だからこそ、鵜呑みにしてはいけない。

 

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