… … …(記事全文4,906文字)2021年以降の「日本人の謎の大量死」の原因と責任を追及し続けているユーチューバー・藤江成光さんのX(旧ツイッター)への投稿が、大バズりしている。2023年10月28日に開かれた国立感染症研究所の一般公開で脇田隆字所長と15分くらい話をすることが叶い、以下の2点で意見が一致したというのだ。
「ワクチンの重症化予防を示す国内のデータはない」
「超過死亡(日本人の謎の大量死)の原因がワクチンである可能性は、否定できない」
脇田所長といえば、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードと新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の座長を歴任した人物で、コロナワクチン推進の立場にある。その人物が、日本人大量死の原因がコロナワクチンである可能性を否定できないと発言したというのだから驚きだ。このエピソードを書いた藤江さんの投稿(同年10月28日付)は、11月3日現在で表示回数が265万回にも達している。
これに対して、脇田所長は「自分の意図とは異なる内容」だとして、10月30日付で異例の文書(「新型コロナウイルス感染症に関して国立感染症研究所所長の見解とする一部SNSにおける投稿について」)を同研究所のホームページに掲載。毎日新聞やNHKまでもが、これを報道する事態に発展した。
この文書で脇田所長は11の参考文献に基づいて、「新型コロナワクチン(mRNAワクチンを含む)が新型コロナウイルス感染症による重症化、入院及び死亡を減らすことは、多くの適切にデザインされた研究に基づいて実証されており、学術的に確立された知見」とし、「新型コロナウイルスのワクチン接種が原因で超過死亡が発生した」と考えられる科学的根拠は、現時点において確認されていません」と説明している。
そして、「新型コロナウイルスのワクチン接種が原因で超過死亡が発生した」と考えられる科学的根拠は、現時点において確認されていません」として、脇田所長は5つの要因を挙げた。藤江さんの言葉も借りながらそれらを要約すると、以下のようになる(脇田所長の全文は国立感染症研究所のホームページを参照してほしい)。
① コロナ死(新型コロナを直接原因とする死亡)
② 偽コロナ死(新型コロナと診断されたが、別の要因による死亡)
③ 隠れコロナ死(新型コロナと診断されないが、新型コロナによる死亡)
④ コロナ禍死(感染症流行による間接的な影響を受けての死亡)
⑤ その他(①でも④でもない死亡)
要は自分の発言によって、国民に日本人謎の大量死の原因がワクチンだとは思われたくないということだろう。これらの5つの要因に対して、藤江さんは次のように再反論している。
・①と③があるということは、ワクチンが効かなかったのでは?
・②は何?
・④は感染対策が間違っていたのでは?
・⑤そんなん入れたらなんでもアリじゃん。
まったくその通りだ。そもそも、コロナワクチンが効いているのならば、コロナ(あるいは隠れコロナ)で大量死などあってはならないはずだ。現実に、第8波(2022年11月~23年2月ごろ)は、コロナ死が過去最多となった。ワクチン推進派は「ワクチンを打っていなければ、もっと人が亡くなっていた」とか「オミクロンで感染が拡大したから死者も増えて当然だ」などと嘯くが、それを裏付けるデータはどこにもなく、まったく非科学的な言説だ。コロナワクチンを接種し始めてからのほうが、コロナ陽性者もコロナ死者も圧倒的に増えたのは、厳然たる事実なのだ。
それに、コロナの流行による医療逼迫や受診控え、コロナ自粛による持病の悪化等が原因で死者が増えたというなら、それは、すぐに逼迫するような医療システムを放置したり、コロナの恐怖ばかりを過剰に煽ったりした、政府・厚労省、医学医療界、専門家たちの責任だ。脇田所長があげた5つの要因は、コロナワクチンを擁護することにも、本人たちの責任を免れる理由にもなっていないと言わざるを得ない。
さらに私は、別の視点からも、脇田所長の「弁明」のおかしさを指摘したいと思う。それは藤江さんが、「超過死亡(日本人の謎の大量死)」を問題にしているにもかかわらず、実は脇田所長がその問いにはまったく答えていないことだ。脇田所長が文書の中であげている11の参考文献を確認してみたが、やはり藤江さんの疑問に答えるものではなかった。
X(ツイッター)では言えない本音
鳥集徹(ジャーナリスト)