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X(ツイッター)では言えない本音

鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

【子宮頸がんワクチン】打たなくていい理由 ~熊大よ、接種圧を強める「集団接種」はやめるべきだ~

2023年10月12日、熊本大学が在学する学生・大学院生を対象に「子宮頸がん予防ワクチン=HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン(以下、子宮頸がんワクチン)」の集団接種を実施するというニュースがYahoo!などで報じられた。

 

本来、予防接種法で定められた子宮頸がんワクチンの定期接種の対象は、小学校6年生から高校1年生相当の女子となっている。HPVは性交によって感染するため、性交未経験のうちに接種すべきとされているからだ。したがって、対象年齢を過ぎて成人に達している大学生や大学院生に接種する意義は低い。

 

しかし、今回の熊本大学での集団接種は、同ワクチンの積極的な接種勧奨が控えられていた期間、未接種だった人たちに、公平な接種の機会を確保するために設けられた「キャッチアップ接種」(2025年3月まで公費で受けられる)の名目で実施されるという。17歳を超える年齢でも、接種によって一定の効果が見られたというスウェーデンでの研究結果などもキャッチアップ接種の根拠となっているようだ。

 

このニュースが流れると、X(旧ツイッター)には、熊本大学に反発する投稿が相次いだ。2013年4月に定期接種が始まった子宮頸がんワクチンは、接種後に重い副反応を訴える声が相次ぎ、それからわずか2カ月後の同年6月に、積極的な接種勧奨が差し控えられた経緯がある。その後、2022年4月に接種勧奨が再開となったが、現在も被害の補償を求める訴訟が継続中だ。そのような安全性に疑問のあるワクチンを、若い女性に集団接種するとは何事だ、というわけだ。

 

しかも、熊本大学の集団接種のニュースの数日前、熊本県天草市で開催された講演会(9月24日)で「子宮頸がんワクチン接種後に重篤な副反応に襲われた」と訴える高校生(17歳・同市在住)の姿を、地元の熊本県民テレビが報じたばかりだった。彼女は国の方針転換を受けて、昨年6月に子宮頸がんワクチンを接種した。しかし、その24時間後、それまでに経験したことのないくらいのハンマーで殴られたような激しい頭痛に襲われた。

 

彼女は接種した産婦人科医院に受診したが、「コロナではないか」と疑われ、帰されてしまったという。だが、彼女はいまも自己免疫性疾患による視覚異常や関節の痛み、手足のしびれなどに悩まされている。現在、治療のため鹿児島の病院に通い、休学中だ。そのように被害を訴える高校生がいるのに、彼女の地元の国立大学で集団接種が敢行されるというのは、なんとも非情としか言いようがない(熊本県民テレビKTT公式YouTubeチャンネル「【子宮頸がんワクチン】ハンマーで殴られたような頭痛…副反応の治療を続ける高校生が訴え」2023年10月5日報道)。

 

新型コロナワクチンに対する政府や医学界の姿勢を見れば明らかだが、いかに健康被害を訴える人が増えようと、彼らは無理やり根拠を作ってでも「メリットがリスクを上回る」と言い続けて、接種勧奨を続けるだろう。そして今後、子宮頸がんワクチンの集団接種(キャッチアップ接種)は、全国に広がっていくかもしれない。もしかすると熊本大学の試みはそのパイロットスタディという位置づけで、小中高でも集団接種が敢行される可能性がある。こうやって、接種圧はどんどん高まっていくに違ない。

 

こうした動きに対抗しようと、子宮頸がんワクチンに反対する人たちは、副反応の害を強調しがちだ。確かに、健康被害を受けた人の声や姿は悲痛で、強く心に突き刺さるものがある。そして、被害者を救済しなくてはいけないのは言うまでもない。ただ、「接種後の有害事象とワクチンとは必ずしも因果関係があるとは言えない」というのが、接種を推進する側の常套句だ。この論理に対抗するのが簡単ではないことは、これまでの薬害の歴史を知っている者なら、身にしみてわかっているはずだ。

 

だからこそ私は、別の角度から問うことも必要だと言い続けてきた。それは、「そもそもこのワクチンが必要なのか」という視点だ。結論から言うと、健康被害に遭うかもしれないリスクを冒してまで、打たねばならないワクチンではないと私は考える。もし私に娘がいても、打たないように説得するだろう。少なくとも、接種しなかったからといって、他者から非難されるようなワクチンではない。以下、その理由を述べる。

 

… … …(記事全文5,546文字)
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