… … …(記事全文4,875文字)2023年10月3日、ノーベル生理学・医学賞に、mRNAワクチンの技術を開発した米ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ氏(ハンガリー出身)とドリュー・ワイスマン氏の二人が選ばれた。
mRNAワクチンといえば、ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社のコロナワクチンに用いられた技術だ。同賞の選考委員会が設けられているスウェーデンのカロリンスカ研究所は会見で、mRNAワクチンが「世界中で130億回以上接種され、何百万人の命を救った」などと二人をたたえたそうだ。
だが、X(旧ツイッター)上では、多くの人が受賞に反発した。当然の反応だろう。何百万人もの命を救ったことを裏付ける、信頼に足るデータがどこにあるのか。それを証明するには、接種者と非接種者の属性(年齢、性別、職業、収入、健康状態等々)をマッチさせ、両者の予後をフェアに比較するべきだ。しかし、少なくとも私が知る限り、そのような真っ当な臨床研究は、世界中のどこを見渡しても行われていない。
逆に日本には、コロナワクチンによって、史上最大の健康被害が起こっていることを強く裏付ける公式統計がある。コロナワクチンによる健康被害を訴えて、国に救済を求めた人の数(予防接種健康被害救済制度の申請受理件数)は、令和5年9月27日公表分までで8957件にも上っている。救済が認定された件数はおよそ半数の4520件で、うち死亡事例数は269件にも達している(否認644件、未着手3682件)。
接種開始からまだ3年も経っていないワクチンで、過去44年間24種のワクチンの救済認定件数(3522件)および死亡事例数(151件)を、優に超えてしまっているのだ。9月27日には、死亡事例の申請件数が949件に上っていることも明らかになった。これを薬害と言わずして、何というのか。
世界中でコロナワクチンへの不信が広がっている現状について、カロリンスカ研究所ノーベル賞選考委員長のグニラ・カールソン氏は「安全対策が省かれたことはなく、安全面での妥協もなかった。そうしたことが十分に伝わっていない」と訴えたそうだ(読売新聞「ノーベル賞選考委員長が会見「ワクチン研究は90年代から継続、受賞が光を当てることを期待」2023年10月2日」)。
だが、予防接種健康被害救済制度の公式の数字を見るだけでも、安全面に疑問を持たれて当然ではないか。それを踏まえて、あらためてカロリンスカ研究所の会見の内容を見ると、今回の賞は、mRNAワクチンを権威で正当化し、不信を抑え込む目的で与えられたのではないかとすら思えてくる。実際、大手メディアの多くが、カロリンスカ研究所の会見内容を無批判に垂れ流し、二人のノーベル賞を手放しで賞賛していた。
ところが、そんな中、興味深い情報がXに流れて来た。当初からmRNAワクチンの安全性に疑問を呈してきたアメリカのウイルス学者、ロバート・マローン氏が、受賞が伝えられたその日に、次のような投稿をしたのだ。「Pfizer donates heavily to the Karolinska Institutet, which awards the Nobel. Science has been hijacked again by big pharma.(ファイザーはノーベル賞を授与するカロリンスカ研究所に多額の寄付をしている。科学が再び大手製薬会社に乗っ取られた)」。
本当なのか。裏付けを取りたいと考え、カロリンスカ研究所のホームページ内で「Pfizer(ファイザー)」と入力して検索してみた。その結果、同研究所とファイザーを筆頭とするワクチンメーカーとの間に、深い関係があることが判明した。
X(ツイッター)では言えない本音
鳥集徹(ジャーナリスト)