… … …(記事全文3,447文字)太平洋と大西洋を結ぶ幅50メートル、全長約80キロのパナマ運河が今、世界の注目を集めています。1999年にパナマへ移管する前はアメリカが持っていた運河の支配権を取り戻したい、とトランプ氏が大統領就任後に爆弾発言をしたからです。1914年に開通したパナマ運河はアメリカが完成させました。アメリカの東海岸と西海岸を結ぶ重要な海運ルートであり、パナマ運河を経由する貨物の75%はアメリカ発、アメリカ行きのものです。運河を通る船舶数の第二位は中国です。
2017年6月、パナマは台湾と断交し、中国と国交を樹立しました。南米諸国の中ではじめて中国共産党(中共)が押し進める巨大経済圏構想「一帯一路」に参加を表明しました。パナマ運河の周辺にある中南米の途上国群を「一帯一路」に引きこみたい思惑の習近平国家主席にとっては良い流れでした。パナマ運河は中国の利権になりかけていました。
しかし、トランプ大統領の誕生によって米中のパナマ運河をめぐる覇権争いは思わぬ形で決着がつきそうです。これから徐々に途上国の「一帯一路」からの離脱が始まるかも知れません。トランプ大統領は一体、どんな手段でパナマのムリノ大統領を動かしたのでしょうか・・・この記事では世界のパワーバランスが今、どう変化しているか、探ってみたいと思います。