… … …(記事全文3,883文字)◆ただの風邪が指定感染症5類に⁉
今年7月26日、武見敬三厚生労働大臣(当時)は記者会見で「急性呼吸器感染症(ARI)を季節性インフルエンザや新型コロナと同じ5類に指定し、国際基準に準じて一体的に把握する体制を整備する。これは平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うためです。現在、5,000カ所あるインフルエンザやコロナの定点医療機関における報告などの事務負担にも配慮しつつ、ご理解・ご協力を促してまいりたいと考えています。」と言っていましたが、このARIの5類指定が来年、4月7日から始まることが決まりました。
「急性呼吸器感染症」などと仰々しい名前をつけていますが熱・せき・鼻水・喉の痛みといった症状をひっくるめてこう呼んでいるわけで、要するに「ただの風邪」です。医者へ行って「ああ、風邪ですね。温かくして寝ていればすぐに治りますよ~」と言われていたヤツです。それが、なぜ感染症5類などになってしまったのでしょうか。名古屋大学医学部付属病院の山本尚範救急科長は、「未知の感染症が出てきた時に、いち早く見つけて次のパンデミックを防ぐというのが、今回風邪を感染症に入れた背景にある。WHO(世界保健機関)が急性呼吸器感染症の調査は次のパンデミックにつながり得るので、世界各国で調べてくださいと呼びかけている。その要請に日本政府も応えることになった」と言っています。
定点医療機関に指定されている病院にとっては負担が増える、迷惑な話です。これまでは「温かくして過ごしてくださいね。お薬、出しておきます」で済んでいたものが、これからは「ARI患者がOO名、発生しました」と厚労省に届け出なければなりません。流行状況の監視(サーベイランス)もしなければなりません。ARIが「特定感染症予防指針」に位置付けられたことで、ARIの予防ワクチン開発も可能になります。ネット上では「ああ、またワクチン利権狙いか」「製薬会社からいくら、貰ったんだろう」と炎上しています。なぜ政府は国民に「冬は風邪を防ぐために自然免疫を鍛えましょう。規則正しい生活をして、栄養バランスのとれた食事をしましょう」という、当たり前のアナウンスをしないのでしょうか。