… … …(記事全文4,150文字)◆大手メディアに反省の姿勢ナシ
11月17日に投開票された兵庫県知事選挙は地方自治体の首長選挙という枠を超えてさまざまなことをあぶり出す結果になりました。大手メディア、特にテレビは斉藤元彦知事がパワハラで渡瀬県民局長を自殺に追いこんだという嘘をつき続けました。しかし斉藤氏が失職後に再立候補して、出直し選挙で当選すると嘘をついたことを謝罪するのではなく、SNSの存在が問題だというふうに話をすり替えました。こういうことをすると、テレビの情報はますます視聴者に信用されなくなります。そもそもテレビの報道が何かおかしいと感じ、信用できないからSNSやネットで真相を調べてみようという気持ちになるのであって、自分たちが真実を伝えてこなかったことをまず反省すべきでしょう。しかし既得権益にあぐらをかき、根拠のない優越感を持つ彼らにはそんな謙虚さはありません。
「今はテレビとネットの情報戦争時代だ」という説がありますが、日本のマスコミ(新聞・テレビ)が「マスゴミ」と呼ばれるようになってから、もう20年ぐらい経つのではないでしょうか。テレビは若者にソッポを向かれて、最近は家にテレビがないという人も少なくありません。インターネットはその速報性、多様性、情報量でテレビを凌駕しています。ただ、これまでそれが政治の世界に反映されなかっただけだと思います。兵庫県知事選挙はネットの影響力が選挙の結果を左右した初めての事例になりました。
大手広告代理店「電通」が発表した「2023年 日本の広告費」によれば総広告費(7兆 3,167億円)のうちマスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)の広告費が計2 兆3,161億円であるのに対してインターネットは3兆 3,330億円です。四つの媒体を合わせてもインターネットの広告費に及ばないわけです。四媒体のうちもっとも多いのはテレビ広告(1兆 7,347億円)ですが、ネット広告費の約半分です。今、広告市場を牽引しているのはインターネットなのです。