… … …(記事全文3,629文字)◆「紙の保険証廃止」で廃業する医院が続出⁉
健康保険証一枚を持って近所の医院に行けば待たされることもなく、保健診療が受けられる日本の皆保険制度は日本が世界に誇れるものです。外国人がその利便性の恩恵にあずかろうと、わざわざ来日するぐらいです。しかし政府は12月2日をもって紙の保険証の新規発行を停止することを決めました。あと2カ月後には保険証が事実上、廃止されます(本当に?)。ではどのようにして受診するか、といえば2021年10月から政府と厚生労働省が強引に推しすすめてきたマイナンバーカードに健康保険証を紐づけた「マイナ保険証」を使いなさい、ということです。しかし今年8月の時点でマイナ保険証の利用率はわずか12.4%。利用率が一向に上がらないのは紙の保険証に比べて不便だから、その一言に尽きます。
保険証は月1回、確認するだけです。顔見知りの医院だったら「変わっていませんね?」と確認するだけでOK。しかしマイナ保険証は受診のたびに受付に出さなければなりません。受付にあるカードリーダーにマイナ保険証をかざすのですが、次に暗証番号を入れるか、顔認証をするか選ぶことになります。マスクをしていると顔認証システムが機能しない、とか車椅子に乗っていると画面に顔をかざすことができない、などいろいろと使い勝手が悪いです。「医療情報を提供することに合意しますか?」など、いくつかの質問にもその場で答えなければなりません。時間がかかる上にエラーも多いです。
約11万人の医師・歯科医が所属する全国保険医団体連合会の調べでは「オンライン資格確認システム」を導入した医療機関の、なんと4割で不具合があったそうです。たとえば保険の自己負担率の誤登録(健康保険証だと3割負担だったのがマイナ保険証だと2割になっていた)とか名前の一部分が黒丸になった(漢字が表示されない)など、原因不明のトラブルが減りません。トラブルが頻発するので受付がスムーズに進まず、窓口に患者の列ができる場合もあるそうです。