… … …(記事全文3,859文字)◆「パトリオットを米国へ輸出」にロシアが激怒
去年12月22日、政府は防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正しました。ライセンス生産(外国企業から技術を導入して国内で製造する)した装備品の輸出は、これまではアメリカへの部品輸出に限られていましたが、これからは武器の完成品をアメリカだけでなくライセンス元の国へ輸出することができるようになります。2014年に防衛装備移転三原則が安倍政権で策定されて以来、自衛隊法の「武器」にあたる完成品を輸出するのは初めてです。国会が閉会中にこれほど重大なことを閣議決定で決めるのは、バイデン大統領から地対空誘導弾ミサイル「PAC3」をアメリカに輸出するように迫られているからだと思われます。
ライセンス生産した装備品を同盟国、アメリカに輸出することは問題ないと考える人が多いことでしょう。しかし今回の決定は、アメリカの「PAC3」の在庫が払底したのでバイデン大統領が岸田首相に「PAC3」の在庫を早急に補充することを要請したという背景があります。ウクライナ支援に前のめりになるバイデン大統領の顔を立てるためになぜ日本がそこまでする必要があるのでしょうか。先が見えないウクライナ紛争に欧州でも支援疲れが広がりつつあります。勝機が見えないウクライナに日本が間接的にせよ武器を輸出することは紛争をずるずる長引かせ、ウクライナ国民の苦しみを増大させ、ロシアとのパイプを弱めることにつながるのではないでしょうか。