… … …(記事全文4,725文字)◆「いじめ、パワハラはなかった」⁉
9月30日に宝塚市のマンションの敷地内に女性が倒れているのが発見されました。彼女は宝塚歌劇団の宙組(そらぐみ)団員、有愛(ありあ)きい(芸名・25歳)さんで、自殺ではないかと現在、警察が捜査中です。11月14日、彼女の死をうけて劇団側が記者会見を行いました。東京でもほぼ同時刻に遺族側の代理人弁護士が会見を行いましたが、双方の言い分が真っ向から対立したといえるほど食い違っていました。劇団内で上級生による下級生のいじめやパワハラが日常的にあったことは『週刊文春』がこれまで複数回、報じています。文春が裏をとらずに報道すれば名誉棄損で訴えられますから裏は取っているはずです。つまり団員から多くのリークが文春に寄せられたことが想像できますが、それを劇団側が完全否定したのには驚きました。
記者会見では調査報告書が読み上げられ、それに基づいて劇団が説明を行いました。報告書は外部の調査チームが作成したそうですが、調査チームのメンバーは「大江橋法律事務所」の弁護士がほとんどだったことがのちに分かりました。「大江橋法律事務所」の石原真弓弁護士は阪急阪神ホールディングスのグループ企業「H2Oリテイリング」の取締役監査等委員だそうです。
木場健之歌劇団理事長は「歌劇団・阪急電鉄とはこれまで接点のなかった弁護士事務所に調査を頼んでいる(だから公平な調査が行われるはずだ)」と言っていましたが、それは嘘だったわけです。劇団側は有愛さんに長時間労働を強いる環境があったことは認め、謝罪しましたが謝罪した理由は「安全配慮義務が欠けていたから」だそうです。まるで工事現場で起こった事故の責任を問われた警備会社の幹部が口にするような言葉です。