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やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #261:一橋大学の入試問題から世界を見る⑤

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やっぱり地理が好き 

~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

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第261号(2026年7月5日発行)、今回のラインアップです。

①世界各国の地理情報

~一橋大学の入試問題から世界を見る⑤~

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こんにちは。

地理講師&コラムニストの宮路秀作です。

日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。

今回で261回目のメルマガ配信となります。


7月となりました。

本メルマガのご購読を継続していただいたみなさま、大変感謝いたします。

ありがとうございます。


数週間前、ある人工知能が、突然使えなくなりました。


アンソロピック社が開発したClaudeというAIにおける、「Fable」という最先端のモデルです。少し前まで当たり前に動いていたものが、ある日を境に止まり、そしてしばらくして、また使えるようになりました。


理由は、アメリカ合衆国政府による輸出規制でした。


一つの人工知能が、国家の判断で止められ、また動かされる。それほどまでに、この技術は人類にとっての脅威とみなされたのかもしれません。強力すぎる道具は、誰でも使えるようにしておくと危ない。だから国家が管理する。そういう時代に、私たちは入りました。


だからこそ、先端技術は軍事と結びつくのだろうということを改めて実感しました。


ここで思い出すべきなのが、工学博士の坂村健が進めたTRONです。TRONは、日本発のコンピューター・アーキテクチャ(コンピューターの論理的設計)として、1980年代に大きな期待を集めました。


あらゆる機器にコンピューターが入り込み、それらが結びつく社会を見据えた構想であり、今でいうIoT(Internet of Things、モノのインターネット)をかなり早い段階で先取りしていました。ところが、パソコン向けのBTRONが教育用コンピューターに採用されようとしたとき、アメリカ合衆国がそれを貿易上の問題として警戒します。


具体的には1989年、アメリカ合衆国通商代表部(USTR)が公表した外国貿易障壁報告書のなかでTRONが取り上げられ、包括通商法スーパー301条に基づく制裁の候補に挙げられました。ただし、アメリカ合衆国が求めたのは、TRONの開発をやめよ、ということではなく、教育用パソコンの市場を、マイクロソフト社のMS-DOSなどアメリカ製のOSにも開放せよ、という市場開放の要求でした。


▼国産OS「BTRON」が日米の貿易問題になった1989年(日経クロステック)

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00215/060300034/


日本独自のOSが標準になれば、アメリカ企業のソフトウェアやコンピューターが入りにくくなる。そう見なされたわけです。


結局、TRONはパソコンの表舞台では主流になれませんでした。


しかし、この出来事は単なる「国産OSの挫折」と片付けるのは違うように思います。重要なのは、情報技術とその産業構造がまだ現在ほど巨大化していなかった時代から、すでに国家間の競争、標準化、産業支配、安全保障と結びついていたという点ではないでしょうか。


AIをめぐって今起きている輸出規制は、突然現れた新しい現象ではなく、強力な情報技術を誰が作り、誰が標準を握り、誰が使えるのかという見方が重要です。その争いは、TRONの時代からすでに始まっていました。


そう考えて、ふと25年前を振り返ると、奇妙なことに気づきます。今でこそ国家が管理しようとするインターネットも、その大もとをたどれば、国家が、まさに軍事の必要から生み出したものでした。生みの親が国家であり、今また国家が手綱を握ろうとしている。


この25年で、インターネットという言葉の下で何が起きたのか。25年前に一橋大学が入試問題を通じて表した不均等が、今どこまで極まったのか。そして、その極まりの途中で一つだけ、正反対の方向に動き始めたものは何か。


今回は、久しぶりに「一橋大学の入試問題から世界を見る」シリーズの筆を執りたいと思います。


▼#156:一橋大学の入試問題から世界を見る①

https://foomii.com/00223/20240421233000123197

▼#157:一橋大学の入試問題から世界を見る

https://foomii.com/00223/20240427235000123450

▼#158:一橋大学の入試問題から世界を見る

https://foomii.com/00223/20240428220000123474

▼#159:一橋大学の入試問題から世界を見る

https://foomii.com/00223/20240429210000123493


それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。

よろしくお願いします!


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①世界各国の地理情報

~一橋大学の入試問題から世界を見る⑤~


2001年度、一橋大学前期試験地理にて、インターネットについての問題が出されました。

リード文だけで2346字の大容量で、ちょっとしたコラムともいえます。


では、まずはリード文にどんなことが書いてあったのか、こちらから読みほぐしていきましょう。

… … …(記事全文8,133文字)
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