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やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #176:突如、再び混沌としてきたスーダン情勢 #スーダン #ダルフール

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やっぱり地理が好き 

~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

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第176号(2024年9月29日発行)、今回のラインアップです。

①世界各国の地理情報

 ~突如、再び混沌としてきたスーダン情勢~

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こんにちは。

地理講師&コラムニストの宮路秀作です。

日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。

今回で176回目のメルマガ配信となります。


本日9月29日は、私が長らく推しているDo As Infinityのデビュー日です。1999年デビューなので、今年で25周年。若い時に推していた人をいつまでも推せるというのは、実に幸せなことです。10月6日には25周年LIVEを行うのですが、チケットは完売とのことで、根強いファンに支えられてDo As Infinityの今があります。もちろん、チケットは私も買いました!


当メルマガも、長らくご購読頂いている方が多く、選挙でいうところの「基礎票」です。「浮動票」を少しでも多く取り込めることは大事なことですが、「基礎票」を減らさないことがもっとも重要なことです。


今週、突如としてアフリカからニュースが飛び込んで来ました。


9月26日、アフリカのスーダンが再び内戦が勃発しました。

スーダンは1956年の独立から、17回のクーデター未遂(うち6回成功)、2回の内戦、そしてダルフール紛争を経験した国です。これだけの血を流してもまだ、スーダンの民主化は達成されません。国家の未来を創るのではなく、「今だけ、我がだけ、カネだけ」とばかりに主導権争いに明け暮れている国に平和など訪れるはずもありません。それは、どこかのアジアの島国も同じですが、武力衝突が起きないだけまだましです。


第一次スーダン内戦(1955~1972年)は、イギリスとエジプトによる共同統治から独立を目指した北部の運動により始まりましたが、北部のイスラーム主導の政権が南部の黒人住民を排除したことで、南部の反発が強まりました。1954年に発足した自治政府も北部主導であり、南部の不満は募り、連邦制の約束を反故にされたこともあって、内戦に突入しました。南部は分離独立を求め、激しい戦闘が17年にわたり続きますが、、1972年にエチオピアのセラシエ皇帝の仲介でアディス・アベバ合意が成立、南部に自治権が与えられたことで終結しました。この内戦で50万人以上が亡くなったとされます。


第二次スーダン内戦(1983~2005年)は、政府が国全体をイスラーム化しようとしたことに対して、南部の非アラブ系住民が反発したことで始まりました。特に南部は石油や肥沃な土地に恵まれており、これを巡って北部政府との対立が激化しました。南部の反乱軍である「スーダン人民解放軍(SPLA)」は、ソビエト連邦とエチオピアの支援を受けて戦い、22年にもわたる内戦となりました。この内戦で200万人が命を落とし、400万人が難民となりました。この内戦で生まれた「ロストボーイズ」と呼ばれる戦争孤児は2万人以上に及びました。最終的には2005年に和平合意が成立し、2011年に南スーダンが住民投票で独立を決定しました。


ダルフール紛争は、2003年にスーダン西部のダルフール地方で勃発し、現在もまだ継続中です。


反政府勢力スーダン解放軍とスーダン国防軍、および民兵組織ジャンジャウィードとの間で戦いが繰り広げられ、ジャンジャウィードは後に「ラピッド・サポート・フォース(RSF)として派生しました。ダルフール地方は貧困層が多く、政府に見捨てられた地域とされており、フール族、ザガワ族、マサリト族など非アラブ系の住民が主に居住していました。これらの住民はイスラーム教徒ですが、政府の民族浄化によって数多くの村が焼かれ、殺戮が行われました。


スーダン政府はアフリカ系住民に対して民族浄化を進め、スーダン国防軍とジャンジャウィードは空爆や地上戦を展開し、260万人が避難民となりました。多くの人々が今もダルフール内のキャンプや隣国チャドの難民キャンプで生活を強いられています。国連によれば、少なくとも200万人がこの紛争の影響を受けており、経済や交易が破壊され、生き延びるためには食料援助が必要な状況です。


武器の供給源は中国とされます。スーダンが中国に石油を輸出しているため、中国はスーダンの最大の貿易相手国となっています。そのため、アメリカ合衆国やイギリスがスーダンに対する経済制裁を検討した際、中国は国連安保理で拒否権を行使し、制裁を阻止しました。


これに対して、スティーヴン・スピルバーグは「中国がスーダンでの犯罪行為に加担している」と抗議し、2008年の北京オリンピックのボイコットを訴えたこともありました。この紛争は現在も続いており、解決の見通しは立っていません。このダルフール紛争は、スーダンの過去の宗教対立とは異なり、イスラーム教徒同士の紛争である点が特徴です。


こちらの内容は、YouTube「みやじまんちゃんねる」にて動画を配信していますので、お時間あるときにでもご覧ください。


▼【5分くらいでわかる地理】スーダンと南スーダン「二度のスーダン内戦、今もなお続くダルフール紛争を徹底解説!」#037 【アフリカ】

https://www.youtube.com/watch?v=WLG37_1EMHc


▼#109:二度のスーダン内戦とダルフール紛争を振り返る

https://foomii.com/00223/20230507220000108784


それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。

よろしくお願いします!


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①世界各国の地理情報

 ~突如、再び混沌としてきたスーダン情勢~


アフリカのスーダンにて、突如として内戦が勃発したのは2023年4月15日のことでした。当時、わたくしはメルマガ(第107~109号)にて、スーダン情勢を詳細に解説していますので、その時の内容を要約します。


その前に一つ!


実は、スーダン内戦が勃発することで、アメリカ合衆国にとって困ったことが顕在化しかねない話があります。そうです、アメリカ人が大好きな「アレ」が呑めなくなる可能性があるわけです。


もちろん、「アレ」とは、

… … …(記事全文7,740文字)
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