… … …(記事全文3,434文字)●新潟日報が東電管内9知事にアンケート
「1都8県の住民や知事らが柏崎刈羽原発の再稼働を本当に求めているのかが聞こえてこない」「電力消費地の意向が伝わってこない」。こういった意見が新潟県議会内に根強くある。この声に応える形で、新潟日報が東京電力柏崎刈羽原発の是非等について、アンケートを実施した。東京電力管内の東京、神奈川、埼玉、千葉、静岡、茨城、群馬、栃木、山梨の1都8県の知事に対して書面で質問し、全知事から回答を得たという。
●質問内容
質問は以下の4項目のほか、原発立地自治体と電力消費地との関係について自由記述を求めた。
1.柏崎刈羽原発の是非について
2. 原発の必要性について
3. 東京電力供給体制に不安を感じるか
4. 電気料金値上げによる都民・県民生活への影響は
●9知事の回答
質問に対する各知事の回答は以下のとおりである。
⇒質問1について
再稼働は必要:埼玉県
再稼働は必要ない:(なし)
その他:神奈川県、千葉県、静岡県、茨城県、群馬県、栃木県、山梨県
選択肢を選ばず:東京都
再稼働が「必要」と回答したのは大野元裕埼玉県知事のみであった。ただし、「再稼働に当たっては立地自治体における住民理解が不可欠」と付言したという。意思を示さなかった8都県の知事のうち、東京都と栃木県は「地元の理解を得ることが重要」などと回答。神奈川県は「地元住民や自治体の意向が重要」とし、千葉県は国に対応を求めたという。
⇒質問2について
必要:群馬県
必要ない:(なし)
その他:神奈川県、埼玉県、千葉県、静岡県、茨城県、栃木県、山梨県
選択肢を選ばず:東京都
山本一太群馬県知事だけが「必要」と回答し、「エネルギーは経済、国民生活の生命線」と理由を説明した。東京都、千葉県、静岡県、茨城県、栃木県、山梨県は「国が責任を持って決定していくべきだ」「国のエネルギー政策に関わる問題」などと回答した。
⇒質問3について
大いに不安を感じる:(なし)
ある程度不安を感じる:埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県
あまり不安を感じない:神奈川県、山梨県
全く不安を感じない:(なし)
その他:静岡県、茨城県
選択肢を選ばず:東京都
福田富一栃木県知事は老朽化した火力発電所の存在を指摘。「2024年度は夏、冬ともに電力需要に対する供給の余力を示す『予備率』が最低限必要とされる3%を上回ったものの発電所のトラブルなどのリスクを踏まえると、逼迫が懸念される」とした。
長崎幸太郎山梨県知事は「国が再生可能エネルギー導入と電力の地域間連系線整備に取り組んでいるため」と回答した。
大井川和彦茨城県知事は「22年6月を最後に東電管内で電力逼迫注意報の発令はないが、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの進展で電力需要増が見込まれる」とし「どちらとも言えない」と回答した。
小池百合子東京都知事は「国や東電に電力価格の高騰抑制や需給の安定化を要望している」とした。
⇒質問4について
大いに影響がある:神奈川県、静岡県、茨城県、山梨県
ある程度影響がある:埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県
あまり影響がない:(なし)
全く影響がない:(なし)
その他:(なし)
選択肢を選ばず:東京都
東京都知事を除く多くの知事が、電力のほか物価全般の高騰を指摘し、鈴木康友静岡県知事は「企業活動にも影響を及ぼしている」と回答した。
⇒原発立地自治体と電力消費地との関係についての自由記述
熊谷俊人千葉県知事「エネルギー政策は安全性を前提とした上で安定供給や経済性などを勘案し、国が総合的に取り組むべき」
黒岩祐治神奈川県知事「地元住民や自治体の意向が重要であり、回答は差し控える」
山本群馬県知事「新潟県議会での議論について意見を述べる立場にない」
福田栃木県知事「エネルギー政策は国が責任を持って計画、施行していくもので、電力消費地から再稼働を求めるものではない」
小池東京都知事「原子力政策は国レベルで議論、検討されるもの。回答を差し控える」
●筆者所感