… … …(記事全文3,391文字)●東京FM 「Hand in Hand」
東京FMの朝の番組「ONE MORNING」で、毎週金曜日に7分間の「Hand in Hand」というコーナーがある。これは、復興庁が提供し、地元出身の女性アイドルが東日本大震災による被災地の復興をアピールするという内容である。いかにも順調な進捗を強調しているようで「やらせっぽさ」が拭えないので、あまり好んで聴いてはいない。
●「福島環境再生ツアー」レポート
ただ、先週放送された環境省の「福島環境再生ツアー」のレポートは毛色が違っていた。参加者は、大学生を中心とする15人の一般参加者、番組スタッフと元パーソナリティ。福島県双葉町、大熊町及び富岡町の市街地や関連施設、また東京電力福島第一原発の敷地内、さらに県内の除染で発生した土などの廃棄物を最終処分するまでの間、貯蔵する「中間貯蔵施設」を見学した。この日は、その中から、「中間貯蔵施設」のレポートと、ツアー参加で感じたことや課題を話し合う「意見交換会」の模様が放送された。
●「中間貯蔵施設」レポートはありきたり
「中間貯蔵施設」レポートは、国等の委託を受けた特殊会社「中間貯蔵・環境安全事業株式会社」(JESCO:JAPAN ENVIRONMENTAL STORAGE & SAFETY CORPORATION)の職員が「地震などが再び発生し、地割れなどが起こった場合、土壌がむき出しになる可能性はない」「全国で再生利用される場合も、同様の管理体制が維持される」といった参加者の疑問に答える、ありきたりのレポートだった。
●ツアー参加後の感想
しかし、その後のツアー参加者の感想が興味深かった。
⇒福島第一原発は怖い
まず、福島第一原発は怖いという、よくある感想である。怖さが消えたというが外観しか見ていない。
「大阪から来たマツザキです。福島第一原発を見た感想、もっとグロいと思っていたんですよ。でも思っていたよりも作業場とか足場とかが整備されていて、進んでいるのかなっていう印象です。福島に来る前は怖くて、昨日の夜も怖かったんですけど、実際見てみると思っていたほどの怖さはなかったですね。(知ったことで怖さが消えた?)そうだと思います」
⇒複合災害の特殊性
原発事故と津波と地震が全部組み合わさった(複合災害)被災地の特殊性について語る参加者もいた。
「大阪府から来たモモカです。私は宮城と岩手の被災地を見て、復旧じゃなく復興のフェーズに入っていると思っていたんですが、福島の双葉町・大熊町に入るとまだバリケードで入れない場所、ボロボロになった建物がそのまま放置されているのを見て不思議な感じがして、原発よりもそうした町の様子が気になりました」
きれいというのは双葉駅、駅前広場と新築の復興住宅だけである。
「今回来て思ったのは、あそこでああいう災害があったというのを感じられないくらいきれいで、今日実際に双葉の帰還困難区域に行けて、本当に事故があった実感を得られたのは貴重だった。両方の側面を見られた気がします」
⇒「そもそも復興すべきなのか」