… … …(記事全文3,752文字)今年もそうこうしているうちに、9月17日を迎えてしまった。小泉純一郎首相(当時)が訪朝し、初めての日朝首脳会談が行われ、北朝鮮による日本人拉致が白日の下に晒された日である。さすがに、22年目となると取り上げるメディアはなかった。取り立ててネタがないのだから詮無いことであろう。そんな中、翌18日かろうじて地元紙新潟日報が横田早紀江さん単独インタビューを掲載した。なぜ、早紀江さんの単独なのか疑問は残るが、それはさて置いて、本稿では、早紀江さんの発言を引用し、それに対する私の意見を述べたい。
●自民党総裁選の中最も望むことは
「新首相にお願いしたいのは、早々に訪朝して北朝鮮のトップに会っていただきたい、に尽きる。言葉だけの対応はもうたくさん」
「何人もの首相や拉致問題担当相が拉致問題に関し『1日も早く』『最重要課題』などと言っていたが、正直、歴代の大半の方々からは、本気度が伝わってこなかった。うわべだけの感は否めなかった」
「(新首相の早期訪朝は)『誰かが帰ってくる』などの確約が事前にあろうがなかろうが、とにかくまずは会ってきてほしい。日本のみならず世界でニュースで取り上げられれば、世論を喚起し、再び思いもよらぬ事態が起きるかもしれない。事態が動かねば、また事実上の放置が何年も続いていてしまう」
※筆者所感
まず、新首相にお願いするのではなく、岸田文雄首相の責任を追及すべきだろう。3年間、「私直轄のハイレベルな協議により日朝首脳会談を目指す」という主旨のことを表明し、家族に期待を持たせておきながら、何も実現しなかった。金与正談話を通じての金正恩総書記の秋波を無視・拒否してしまったことに原因があったのではないか。なぜ、進展しなかったのか問い質すべきである。ハイレベルと言いながらやっていることは低レベルだったのでは、と。
歴代の首相や拉致担当相の「大半の方々」とは、安倍晋三元首相を除いてという意味なのだろうか。もし、そうだとすれば大きな間違いである。安倍元首相こそが拉致問題を食い物にしたことで、問題を長期化・膠着化させた張本人であると、そろそろ認識を改めてもらいたい。私に言わせれば、歴代の首相や拉致担当相に本気度を見出せたのは誰ひとりいない。
日朝首脳会談が簡単に早期に実現するとは思えないが、仮に「誰も帰ってこない」状態で実現し、世界のニュースになり世論が盛り上がる。そんな悠長なことを言っていていいのか疑問である。
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)