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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

私は100ミリシーベルト以上被ばくした元放射線業務従事者である。症状はまだない。

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2020120406300073832 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 ////////////////////////////////////////////////////////////////  私は、1977年4月東京電力に入社し、同年5月から福島第一原子力発電所に赴任後3年間で100ミリシーベルト(当時の単位は「レム」)以上の被ばくをした。あれから、40年以上経過しているが、法令に定める被ばく限度(5年間100ミリシーベルト、かつ1年間につき50ミリシーベルト)を超えるものではないし、取り立てて症状が出ている訳ではない。しかし、当時の原発の現場はとにかく汚かった。見た目はもちろんのこと、放射線量率の観点からもそうだ。そして、応力腐食割れ(SCC)対策のため一次系(原子炉に直接繋がっている)配管の交換作業に従事する作業員が多かったという事情もあった。  その頃、被ばくすると、「男の子は生まれない」という都市伝説があった。同じことが、テレビ局やラジオ局でも言われていたそうだ。強い電磁波による影響が作用するというのが理由だった。実際、私の3人の子どもはすべて女の子だったのだが、私の被ばく線量との因果関係は定かではない。  福島第一原発入所当時から私の被ばく経歴を振り返ってみる。好んでなるわけではないものの、原発の現場で働く限り、「放射線業務従事者」となることを余儀なくされる。事前には放射線安全教育が行われたが、あまり現実味を帯びていなかったことは否めない。教育の後、放射線管理区域または汚染管理区域に入り作業を行う。私が担った業務は計測制御装置のメインテナンスだった。  着任直後、先輩に「ちょっと来い」と言われて現場に連れて行かれた。行き先は、廃棄物処理建屋。最も汚染が激しく、空間線量率も高い場所のひとつだ。汚染管理区域用の「つなぎ服」に着替え、アラーム付きの線量計をセットのうえ現場に入った。特に作業があるわけではない。パトロールと称して「一番汚い所へ連れていってやる」と言う先輩の後を追い、ある配管をまたいだ瞬間ピーッとアラームが鳴った。いい気持ちはしなかったが、先輩は「アラームが鳴ったらすぐ退出だ」と諭すように言った。何のことはない、新入社員に対する放射線アラームの「洗礼」だ。まるで「肝試し」であり、今思うと完全に不要な被ばくでしかなかった。
… … …(記事全文4,565文字)
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