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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

着々と近づく柏崎刈羽原子力発電所再稼働の足音(下)

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2020110606000072751 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 ////////////////////////////////////////////////////////////////  柏崎市にあっては、もう目も当てられない状況だ。原発推進から福島第一原発事故を機に覚醒したはずの櫻井柏崎市長だが、今は昔、再稼働へまっしぐらである。もとより、打ち出す政策やキャッチフレーズは、「1~5号機の廃炉計画を明示することが6、7号機再稼働の条件」「洗練された田舎を目指す」などであり、ダブルスタンダードの権化のような人物だ。極め付きは、市長が提唱する「柏崎市地域エネルギ―ビジョン」とは「再生可能エネルギーと原子力のまち」。つまり、全国各地で注目されている「地域型電源」に柏崎刈羽原発の電力も加えるというのである。どこの企業に外注して作成したプロジェクトなのか知らないが、菅首相の所信表明演説にも共通する。ナンセンス以外の言葉が思い浮かばない。  地元ではパフォーマンス好きでも知られる市長である。真冬の夜間、避難路となる雪道を自ら乗用車を運転して避難場所まで行ってみるという。私も同じ経路を走行してみて、道幅が狭く雪崩の恐れもあり、とてもスムーズかつ完全な避難は困難と判断した。しかし、「試走」を終えた市長は、同行したマスコミに対して、自宅待機も選択肢に加えることを検討するとともに、道路の拡幅を国へ要請する、と的外れの回答をしていた。  再稼働については市民の声を聴くと明言していた市長だったが、本年2月、無作為抽出した18歳以上の3000人の市民への「エネルギー政策に関する意識調査」(回収率41.4%)で済まそうとした。しかも、市長は柏崎刈羽原発の今後を問う設問の回答で「全号機の再稼働が必要」6.1%、「できる限り減らしていくが、限定的な再稼働が必要」29.2%に、「徐々に減らしていき、将来は全て廃炉にする」39・4%を、再稼働容認派に含め、「約8割の人が再稼働を認め、もしくは否定していない」と主張した。将来も含めて「全て廃炉にする」と答えた人が計58・6%を占めたことを考えれば、あまりにも恣意的な解釈との謗りを免れない。  柏崎刈羽原発からの30km圏内(UPZ)には、柏崎市、刈羽村の他に7市町村が存在する。再稼働への事前同意を得る必要がある自治体について、立地する柏崎市と刈羽村だけでなく7市町村にも広げることを目指す地元議員らの研究会が設立された。東海第二原発周辺自治体にならった、いわゆる「茨城方式」を実現しようとするものである。設立総会で、会長の自民党の関三郎見附市議は「非常にハードルは高いと思うが、住民が安心できる形にするのが30km圏内の議員の責務だという気持ちで取り組んでいく」と語った。来年5月末までに協定案を作成するとともに、住民の意向調査や住民説明会も実施するという。これには大いに賛同するが、この動きに柏崎市長は難色を示すばかりではなく、県に対して「三つの検証」を加速するよう促し、再稼働に前のめり過ぎる姿を露骨にさらけ出している。
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