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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

総理の座に今,居座り続けている「石破茂」は,「天皇の国事行為」を党利党略のために私的利用する「国賊」であり「逆賊」である.

「石破茂」(この原稿では,呼び捨てで記載します)は,自らの政権基盤の安定化を目指し,総理大臣の権限と言われる解散権を行使し,衆議院を解散しました.

 

ただし,衆議院を実際に「解散する」のは憲法の7状に記載された「天皇」です.

 

これは,日本国民の主権の最高機関である衆議院は,極めて高い権威である一方で,その権威有る衆議院を「解散」することができるのは,より高い権威を持った「天皇」である,という構図にあることを意味しています.

 

つまり,日本国憲法の思想上,総理の解散権というものは,「天皇陛下に衆議院を解散して下さいと依頼できるという権利」なのであり「解散する権利」そのものではなく,実際に「解散する権利」を持つのは「天皇」なのです.だから,わざわざ憲法では,天皇の国事行為として「解散」というものが7条に明記されているのです.

 

したがって,日本の最高権威である天皇に「解散を依頼」するためには,十分な「正当性」がなければいけません.

 

だから,「解散には大義が必要だ」という事になっているのです.

 

つまり,その解散に「大義」がある場合に限り,その解散を「天皇に依頼」することが可能となるのであり,そこに大義がなければ,あるいは,その「大義」が単なる不誠実な嘘まやかしのニセモノであるならば,天皇に解散という国事行為を「依頼」することを正当化することなど絶対にできないのです.

 

かくして石破氏は,「今般自らが作った政権が,国民に信任されるものであるか否かということを国民に問う」ということ,つまり「国民に信を問う」ということを「大義」として掲げ,その上で,天皇に「解散」を(助言という形で)依頼し,天皇はその依頼(助言)にもとづいて,衆議院を解散したのです.

 

そして,石破氏は,「信を問う」ために解散すると宣言した10月9日に「勝敗ラインは与党過半数」と宣言しています.

 

これは事実上,石破氏は国民に対して,

 

「私が作ったこの政権を信じて頂けるなら,過半数の議席をお願いします.もし過半数の議席を頂けないなら,この政権を信じて頂けなかったと判断します」

 

と宣言したことを意味します(※1).そしてその上で,天皇陛下に対して,

 

「陛下,私は,私がつくったこの政権を国民が信任頂けるか否かを問うために解散したいと思って御座います.基準は,「与党過半数」であります.与党過半数が取れれば信任頂いたということでこの政権で国政を預からせていただきますが,捕れなければ信任頂けなかったということで,この政権で国政を進めることを取りやめることといたします.ついては陛下,こういう形で「国民に信を問う」事の大義のために,陛下,何卒,衆議院を解散下さい.」

 

と依頼したという格好になっているわけです(※2).

 

無論これは石破が直接陛下にそういったとかいう話しをしていません.

1)現憲法下で,石破が7条解散を行った.

2)記者会見で,解散の大義は「この政権に対する信を国民に問うことである」と宣言した.

3)その宣言と共に,「勝敗ラインは与党で過半数」であると宣言為た

という三つの事実が指し示すものを解釈すれば,上記の※1,※2が「論理必然的に演繹される」ということとなるわけです.

 

上記の※1,※2をさらに煎じ詰めて言うなら,「石破は与党過半数が捕れなければ,天皇陛下に宣言した大義の下,自身の政権が信任されなかったと判断し,総理を辞職する(総辞職する)と宣言した」という事になるのです!

 

したがって,石破は与党過半数が捕れなかったという結果が出た瞬間に,辞職する責務を負っているのです.

 

にも関わらず辞職しないと繰り返し宣言している石破は今,国民を裏切っている状況にあるわけですが,それのみならず,天皇陛下を裏切っている事になっているのです.

 

すなわち石破は天皇陛下に…

… … …(記事全文3,009文字)
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