… … …(記事全文3,079文字)昨日に続いて,「学術」(アカデミズム)活動の情報提供.今日は,来月頭に開催する「土木と学校教育フォーラム」のご紹介です.
日時:2024年8月4日(日) 9:00~ 16:30
場所:土木学会(講堂 他) & リモート参加
テーマ:ダイバーシティ&インクルージョンのための「まちづくり・地域づくり」教育
https://committees.jsce.or.jp/education04/
このフォーラム,インフラ論や土木の話は,「未来を担う子供達」の教育においてとても大切なテーマだ,ということで,主として「教育学」,とりわけ「社会科教育学」の先生方と「土木学会」にて,
「インフラの話しや土木の話しを,子供達にどうやって学校教育の現場で教えていくか?」
を考えるというもの.
毎年おおよそ100人前後の小学校,中学校,高等学校の先生方や教育委員会,文科省の方々と,インフラの専門家,そしてご関心の一般の皆さんにご参加頂きつつ,リモートでのご参加も含めて毎年開催しているものです(コロナをテーマに扱ったフォーラムではモートには数千人の方にご参加頂いたこともありました).
今年は16回目.月日の経つのはホントに早いもので,準備期間なども含めると,おおよそ20年間,この「土木と学校教育」を考える学会活動を続けて参った次第です.
毎年,防災やパンデミック,交通やまちづくり,くにづくり等,いろいろなテーマで開催してきているのですが,今年のテーマは,
『ダイバーシティ&インクルージョンのための「まちづくり・地域づくり」教育』
https://committees.jsce.or.jp/education04/node/49
このテーマは,社会科教育学会の筑波大学の唐木教授の発案で設定したもの.
唐木先生のお話によると,今の学校教育の現場では「ダイバーシティ&インクルージョン」というキーワードが重要なものとなりつつあるとのこと.
ダイバーシティというのは多様性,インクルージョンというのは(社会的)包摂を意味します.
例えば,昨今の教育学では,伝統的な「男女」だけではない所謂「LGBT」の人達を排除することなく「社会的に包摂」(インクルージョン)することが大切だ,そして,そうした包摂を通して,私達の社会において「多様性」を確保することが大事だ,という話しを,子供達に教えようという機運が高まっている,とのことでした.
LGBTについては,主として「保守」の立場から様々な意見があることは周知の事実かと思いますが…そもそも「多様性」だとか「社会的包摂」だとか言うなら,LGBT問題だけではないはず.
例えば「土木」や「インフラ政策」が極めて重大な意味を持つ,
「過疎地」を見捨てず包摂して国土的な多様性を確保すること
「被災地」を見捨てず包摂して,同じく国土的な多様性を確保すること
「貧困者」を見捨てず包摂して,多様な人々が活躍できる人材多様性を確保すること,
はいずれも,「ダイバーシティ&インクルージョン」教育において強調されるべきです.
しかも,「排除」されている人々の人口規模から言っても,今や「過疎地」の人々や「貧困者」の数は我が国では今やもう未曾有の水準に達していますし,「被災地」においては,彼らが排除される(=復旧復興されない)ことによる被害は極めて深刻な水準となっています.
「ダイバーシティ&インクルージョン」だと言いながら,性的属性や移民問題だけに関心を「限定」し,それ以外の国土的・経済的問題がその議論の対象から「排除」されているようでは,その議論は著しく不当であり不公正です.こうした「議論のダイバーシティ&インクルージョン」を無視した「ダイバーシティ&インクルージョン」論は…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)