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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

政府の公共事業における民間事業者が納品する「インフラの品質確保」と「価格・工期・労務費の適正化」を謳った、いわゆる「担い手3法」の改正の重要性と課題について

現在、今国会でいわゆる「品確法」や「建設業法」等のいわゆる担い手3法と言われる法律の改定案が審議される予定となっています。

 https://www.decn.co.jp/?p=163447

https://www.wise-pds.jp/news/2024/news2024022903.htm

※「建設業法等」の改正について法律案=建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案

※「品確法」の改正についての法律案=公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案

 

これらの法律群については、10年ほど前に下記の経世済民新聞でも解説さし上げましたが(https://38news.jp/archives/03737)、

 

■公共調達の「制度」は、「将来の建設の担い手を確保し、育むことができる」ようなものでなければならず、かつ、「ダンピングを防止できる」ようなものでなければならない、とう理念の明確化、

■この理念を実現するために、工事を発注する「政府」には、上記理念に基づく制度を整備する「義務」があることの明確化、

 

という二点がその制定趣旨となっています。

 

この背景には、公共工事における過剰な価格競争(いわゆる、ダンピング)によって、事業費が安くなりすぎれば、賃金も安くなり、「粗悪なインフラ」が作られてしまうリスクが拡大してしまう…という実態がありました。粗悪なインフラは、簡単に壊れてしまうかもしれませんし、賃金が安すぎれば「担い手」がいなくなって、日本がインフラをまともに作れない国になってしまいかねません。

 

したがって、政府には事業費が安くなりすぎないようにする制度をつくり、かつ、配慮しつづける「義務」がある、ということことが議論され、それを通して最終的に約10年前に、インフラの品質を確保する法律、と言う趣旨で「品確法」がつくられたわけです。

 

当時筆者は内閣官房参与を務めており、日本の国力を上げるためのインフラ投資や国土強靱化が円滑かつ適切に進められるため、こうした法制度が必要であると認識し、多くの関係者とこの制度設計について様々に(当方は主として基礎研究の立場から)議論をし、それが一つの形になったのが、10年前の「品確法」だったわけです。

 

しかし、その制度にもまだまだ様々な課題があったのですが…この度、あれから10年間の議論を経て、改めてこの品確法、ならびにその関連の法律(建設業法・契約法、これらを纏めて担い手3法と呼ばれます)が「改訂」される事になったのでした。

 

今回の改訂の重要なポイントは、これまでネット等で公表されている情報を拝見する限り、次の1点に集約できるものと思います:

 

「これまでの担い手三法は、「行政と下請け」の〝官民関係〟における関係者の義務・努力義務を規定するものであったが、今回の改正は、その義務・努力義務規定を「下請けとさらなる下請け」の〝民民関係〟における関係者に拡張するものである」

 

すなわち…

… … …(記事全文3,899文字)
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