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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

米山隆一氏らに見られる「復興不要・移住すべき論」の背後にある恐るべき「緊縮思想」。それは現実的提案でも何でもない。単なる棄民論であり村殺し・町殺し論である。

能登半島地震から一月以上たちました。

 

被災地は未だ復旧、復興などからほど遠い悲惨な状況のまま放置されています。

 

避難生活を余儀なくされている人は1万5000人近くに上り、4万890戸で断水も続いています。

 

これまでに確認された死者は238人ですが、その内の実に15人が「避難生活」による健康悪化などが原因の災害関連死でした。

 

つまり、十分な救援救護ができなかったが故に15人もの方が亡くなってしまったのです。

 

そして、残りの方々の中にも、そして、未だ安否不明の19名の方々の中にも、迅速な救援があれば命を落とさずに済んだ方が多数おられたことは間違い有りません。

(※例えばhttps://foomii.com/00178/20240106194447118771をご参照下さい。)

 

しかし、世間も政府も、裏金問題や派閥解散などの話題に熱心で、被災地復興についての報道は日に日に減少し続けています。

 

しかも、「過疎地の災害なんて、ほっときゃいいじゃん」という論調の意見が、信じられない事に、あちこちで目にすることが増えて参りました。もちろん、その多くのケースでは「言い方」に多少の配慮がなされているようですが、言っている中身そのものはまさに「ほときゃいいじゃん」という趣旨のとなっているのです。

 

その典型が、前新潟県知事の米山隆一衆院議員(立憲民主党)が、X(ツイッター)に投稿した次のツイートです。

 

「人口が減り、地震前から維持が困難になっていた集落では、復興ではなく移住を選択する事をきちんと組織的に行うべきだ」

 

広大な過疎地を抱える新潟で知事を経験し、今国政政党の代議士を務める人間の意見として、当方は我が目を疑いました。

 

ネット上の反応を見ていますと、当然の様に多くの批判もあるようですが、驚くべき事に「現実的な提案だ」という声も多いのです。

 

米山氏、そして、米山氏を肯定する人々が共有しているのが、復興すべきなのはやまやまだが、おカネが無いから復興を諦めるところがあるのは仕方ないっていうのが「現実」じゃないか、という認識です。

 

しかし、自分の二人の息子が交通事故で死にかけている時、一人あたり治療費が50万、合計で100万円必要だが、今手持ちは50万しか無いから元気で賢い兄は治療するけど、病気がちで勉強が今ひとつの弟はまぁ、放置しよう、という様な親などいるでしょうか?

 

… … …(記事全文3,364文字)
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