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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【能登半島地震と『命の道』】道路寸断のため救援ままならず。道路復旧が被災地救援の第一歩。「道路強靱化」こそ災害対策の「要」である。

能登半島地震から5日が経過し、その被害の深刻さが日に日に明らかになってきています。

 

既に100名以上の方々の命が失われてしまうと同時に、その中に、生き残った多くの被災者の方々に未だ、救護、救援が届いておらず、その結果、折角助かった命が失われてしまうという事例が様々に含まれている旨が報告されてきています…。

 

なぜ今、多くの被災者が孤立しているのかと言えば…半島各地の道路が被災し、通行不能となっているからです。

 

そもそも「半島」という地形は、それぞれの地が一方向からしかアクセスできない、という弱点を抱えています。

 

その結果、内陸部と違って一部の道路の破断で、全く到達不能となり、孤立無援となる地域があちこちに生じてしまいがちとなるのです。

 

では、今、どれだけの道路が破断し、通行不能となっているのかといえば、少なくとも国土交通省の公表資料(https://www.mlit.go.jp/saigai/saigai_240101.html)によりますと、1月6日午後3時時点で、以下の道路区間が通行止めとなっています。

 

○高速道路 1 路線 3 区間で通行止め

○直轄国道 1 路線 1 区間で通行止め(国直轄の国道)

○補助国道 3 路線 29 区間で通行止め(都道府県管轄の国道)

○都道府県道等 3 県 69 区間で通行止め

 

このように、高速道路や直轄国道という、道路の中でもとりわけ「強靱」な構造物で作られた道路は、通行不能となっている区間はごく一部なのですが、都道府県管轄の補助国道や都道府県道は、あわせて100区間程度で通行止めとなっています。

 

その結果、少なくとも昨日夕刻時点で、能登半島の23地区(輪島市で14地区、能登町で5地区、珠洲市で3地区、穴水町で1地区)が、外部からの救護救援が全くできない「孤立」状況に置かれていると報道されています。

 

ただし、これらの孤立地区数は「分かっている範囲」での数字ですから、実際にはこれよりももっと多くの地区が孤立無援の状況となっていると危惧されています。

 

さて、道路の破断状況もまた、少なくとも都道府県道や補助国道(都道府県管轄の国道)では情報がスグには集まらず、日に日に破断数が拡大してきていきました。

 

■補助国道 通行止め区間数

   2日(16:00)   3日(14:30)   4日(14:30)   5日(14:15)  6日(15:00)

    7区間  ⇒ 28区間  ⇒  29区間  ⇒  29区間 ⇒  29区間

 

■都道府県道 通行止め区間数

   2日(16:00)   3日(14:30)   4日(14:30)   5日(14:15)  6日(15:00)

    24区間  ⇒ 56区間   ⇒ 71区間 ⇒  76区間 ⇒  69区間

 

都道府県道は地震6日目になって初めて一部、通行止めが解除され、通行止め区間が減少する現象が起こっていますが、殆ど復旧されていない様子がよく分かります。

 

その理由は第一に、受けた被害が激甚であったことと、第二に、そこまで復旧の手が回っていないから、という理由があります。

 

詳しくデータを見ると、こうした地方管轄道路の被害状況は「土砂崩れ」や「法面崩壊」「盛土崩壊」「道路損壊」「道路沈下」といった抜本的な道路破壊が生じていたことがわかります。

 

一方で、高速道路や国直轄の国道という「レベルの高い」道路では、情報が迅速に集められていると同時に、日に日に開通していく様子がハッキリと示されています…

… … …(記事全文3,639文字)
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