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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

【能登半島地震】日本国民としての一体感が最も高まるこの正月の大災害…国民としてどれだけ迅速かつ効果的な救護・救援、復旧復興ができるのかがまさに今、問われています。
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石川県の能登で1日午後4時10分ごろ、マグニチュード(M)7.6の強い地震が発生しました。

 

ちょうどそのころ、京都の自宅で外国の客人と一緒にいたのですが、ゆっさゆっさとした横揺れが始まりました。その揺れが数十秒程続きました。

 

「揺れの周期の大きさ」からして、おそらくはマグニチュード7クラスの大きな地震であることが分かりましたが、その「震度の小ささ」から(京都では震度が4と記録された様です)、震源は決して近くにあるのではなく、相当の遠方であることが分かりました。

 

したがって、これはきっとどこかで大きな被害が生じているに違い無い、ということで、早速テレビで確認すると、震源は、能登半島の丁度折れ曲がった部分の輪島市と珠洲市のあたりとのこと。

 

図 震源地の場所

 

(ちなみに、各市町村の位置関係、ご存じない方も多かろうと思いますが、能登地域の輪島や珠洲の位置関係はこのようになっています。)

図 能登半島の各市町村の位置

 

今回の地震で1月2日午前15時現在で、七尾市、輪島市、羽咋市でそれぞれ家屋やビル、あるいは灯籠の下敷きになって30名の方が亡くなったとのこと…。ご冥福をお祈り申し上げます…。

 

その深刻な被害は、夜が明けてから次々と明らかになってきていますが、多くの家屋、ビルが倒壊し、大規模な火災も発生しました。

 

多くの方々が行方不明となり、瓦礫の下で救援を待つ方も多数に及び、これからさらに被害の実態が明らかになるにつれて被害の規模が拡大していくことが必至の状況と危惧されます。

 

今回のマグニチュードは7.6、とのことですが、これは、おおよそ70キロ程度の長さの地下の岩盤が、一気に壊れてしまう、という現象に対応します。

 

イメージでいうとコチラのように…

https://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/sec2.2.html

 

M6の地震は「10キロ弱の長さの岩盤」が、

M7の地震は「30キロの長さの岩盤」が、

それぞれ破壊してしまう現象を意味します。

 

したがって、7.6となると、おおよそ「70キロの長さの岩盤」が破壊するということになるわけです。

 

能登半島というのは(ご覧の様に)半島の先がおおよそ70キロ程度ですから、今回の地震は、能登半島の先のエリアの下の岩盤が全面的に破壊されたわけです。その結果、その真上にある能登北部の地域が凄まじく揺れたわけです。

 

図 能登半島のスケール感

 

この地域では、長い間地震が報告されておらず、国が正式に認める活断層があるわけではないのですが、ここ最近、立て続けに地震が起こってきていました(1993年の能登半島沖地震や2007年の能登半島地震等)。そして、昨年も群発地震が発生しており、研究者の間では、海底活断層があることが知られていました。

 

その活断層の位置ですが、ここ最近の群発地震の震央の分布を見れば一目瞭然です。

 

https://news.infoseek.co.jp/article/weathernews_202401020015/

 

要するに、能登半島の先と佐渡島は、一つの大きな断層の上に存在していたわけです(それは丁度、中央構造線にそって、佐多岬、淡路島、紀淡海峡、志摩半島、渥美半島がある、という話しを同じです)。

 

繰り返しますがこの地は、国として正式に認められた断層があった地ではなかったわけですから、今回の地震は、日本中絶対に安全だと言い切れる場所などないということを暗示していると言うことができるでしょう。

 

いずれにしても今回の地震は、日本国民の国民としての一体感・凝集性が最も高まるこの正月に改めて、我々日本国民が試される事態となったと言えるでしょう。

 

ついては何よりもまず日本国民全体の全力を賭した救護救援を図ると同時に、被災地の復旧、復興のために我々国民一人一人ができる限りの力を注ぐと同時に、日本全体を守る国土強靱化のために、今回の被害をさらに縮小させるために事前になすべきであったことの何を怠っていたのかの検証を急ぐことが必要です。

 

お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災地の皆様にお見舞い申し上げます。一日も早く、被災されました方々が平穏な日常生活を取り戻されることを祈念いたします。


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