… … …(記事全文3,012文字)久々に、侠気を感じる報道関係者の記事を目にしました。
テレビ朝日の法務部長、西脇亨輔氏の木原元副官房長官の批判記事、です。
https://gendai.media/articles/-/118335?imp=0
西脇氏は、「木原事件」に対するメディアの沈黙に危機感を覚え、意を決し、テレ朝に自らの職を賭して、説明責任から逃れ続ける木原氏、そして、その木原氏を一切批判しようとしないマスメディアを徹底批判する記事を公表したのです。
西脇氏は、木原氏の東大の同級生でもあったとのこと。その同級生である木原氏の文春報道では、次のような「木原事件」が報じられたことは皆様ご存じのことと思います。
・木原氏の妻X子の元夫種雄氏の不審死について、殺人事件の疑義があるとのことで捜査されていた中で、その妻X子が『重要参考人』となっていた(その捜査時点で、木原氏は自民党国会議員となっており、かつ、X子と結婚していた)。
・ところが、その捜査が、事件性が無い、ということで突然にとして『打ち切り』となった。
・その『打ち切り』について、種雄氏の遺族やその捜査を実際に担当していた佐藤誠元警部補が、「不自然である」「事件性が無いとは絶対に言えない」と批判していた。
・これについて政治権力が、警察捜査を歪め、中止させたのではないか、という疑義がある、と報道された。
この件について、西脇氏は次のように主張します。
『この件の報道の焦点は「犯人探し」ではなく、政治権力と事件捜査の関係だ。』
つまり、この件の報道における最大の問題は、「木原氏が国会議員という政治権力者出会ったが故に、事件捜査が歪められたのでは無いか?」という疑義だというわけです。
だからこそ木原氏は、その疑いを晴らすベく、説明する義務が、政治家としてある筈なのです。西脇氏はこう言います。
『木原氏がこの件の説明をしないのは、おかしい。政治家が説明を放棄したとき民主主義は滅びる。そう強く思った。』
まさに仰るとおりです。
しかも、この件について沈黙を貫いているのは、木原氏だけではありません。本来、その疑義を追求する責務を負うメディア関係者も皆、沈黙を貫いているのです。だから西脇氏は次のように報道機関を徹底批判をします。
『報道機関が目を光らせなければならない問題のはずだ。しかしこの件を正面から取り上げた全国紙やテレビ局はない。』
そして何より、政治権力が捜査を歪めた疑義が極めて濃厚であるということを示す「動かぬ証拠」があるのです…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)