… … …(記事全文3,005文字)今、岸田政権の支持率が急落し、26.9%となりました。岸田政権発足以来「最低」を記録するのはもちろんのこと、自民党に対する支持率も、第二次安倍政権発足以来「最低」を記録しているようです。
で、その原因として報道されているのが、「4万円所得減税」。
何と言っても、折角国民一人あたり4万円も得する話なのに、国民の56%が支持しないと回答しているのです。これは、評価すると回答した31%を遙かに上回る水準です。
で、その理由として挙げられているのが、「政権の人気取りだと思うから」というもの。実に41%が、この減税ばなしを単なる岸田氏の保身のためのセコい話しだと見なしているわけです。
そりゃそうでしょう。人付き合いをある程度しながら生きてきた人間なら、岸田氏が単なる「増税メガネ」に過ぎない存在であるのは、スグに分かります。
防衛増税ということで、法人税、たばこ税、そして所得税のそれぞれを「恒久的」に引き上げることは確定していますし、少子化対策のための「恒久的」な国民負担増も確実です。というかそれ以前にインボイス導入という事実上の「恒久的」な消費減税まで強行しています。
もしもホントに(岸田氏が口で説明しているような)税制調整を通して経済対策をするという意図があるのなら、わざわざ増税しておいて減税するというような、事務コストが超絶にかかるややこしいことなんて絶対にやりません。というかそんな事やってる奴がいたら、単なるバカです。何の意味も無い、穴を掘って埋めるような公共事業をやってるようなものだからです。
だから、岸田氏が経済対策のために減税をやるとするなら、いの一番に、10月1日に強制的に導入された「インボイス」の導入延期をやっていた筈です。そしてその上で、これから予定されている防衛増税や少子化対策のための負担増の話は「実質賃金の上昇率が一定水準に達するまで凍結する」と宣言する筈です。
繰り返しますが、こうした取組は、何の行政コストもかけないで、事実上の減税を達成させることができるのです。そして何と言っても、「実質賃金の上昇率が一定水準に達するまで」と言ってもらえることで、国民は「政府は本気で経済をよくしたいのだな」と政府を信頼することができます。
ところが岸田氏は一向にそんなそぶりも見せないで、「4万円」というセコい金額の「減税」を、一年近く先の時点で一発だけやって、それをもってして「今の物価高で苦しんでいる国民のための賃上げのための対策なのだ」と国会でエラソーに説明しています。
この人は本当に馬○なのでしょう。
なんで来年なんだよ。今苦しんでんだよ。
4万じゃ賃金上がんないだろ。
っていうかなんで一回だけなんだよ。賃金上がるまでずっとやれよ。
っていうかインボイスやめろよ。
っていうか防衛増税やめろよ…
と無限にツッコミがいらられることがまるっきり想像できないのでしょう。
なんでこうなるのかっていうと…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)