Foomii(フーミー)

世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

オミクロン株のファクターX - 中国・日本での感染爆発と医療崩壊

前回、ワクチンは効かないのではないかと書いた。この疑念をタイトルに入れて記事にすることは多少の勇気を要することだった。ワクチンの効果を疑う意見を上げると、途端に「反ワク」のレッテルを貼られ、「陰謀論者」だと断罪されて一方的に攻撃対象にされる。そういう思想環境が固まっていて、ワクチンについては絶対に疑問を持ってはいけない、躊躇を口にしてはいけないという強制力の空気がある。タイトルに「ワクチンは本当に効くのか」と書いたので、右翼や左翼から誹謗中傷のリプライ・ラッシュがあるかもしれないと気を揉んだ。だが、それは杞憂に終わり、無視だけで済んでいる。一方、最近になって、専門家の中でもワクチンの効果を疑問視する者が現れ始めた。 例えば、城戸康年は18日のMBSの記事の中で、「3回接種していれば十分で、4、5回目のあきらかなメリットは明確でない」と言っている。従来の定説を覆す主張だ。また、岡田正彦は16日の女性セブンの記事で、「ワクチンを接種すればするほど、コロナにかかりやすくなる可能性は否定できない」という(異端的な)見解を示している。さらに、小島勢二も「ワクチンの接種回数が増えると感染しやすくなる」と断じている。米国のWSJも同様の報道をしたようだ。英国ではもっと早い時期から、ブースター接種がコロナに対する免疫力を薄めていると明言した専門家がいて、EUの医薬品規制当局も、「ブースター接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れがある」と1年前に発表している。 ■ 中国と日本で空前の感染爆発はなぜ? 私は一つの仮説を思いついていて、それはオミクロン株の特性と人種の免疫属性の相関関係の観点である。コロナウィルスは登場する変異株によって特性を持ち、その感染の規模や被害の度合は人種・民族によって異なっていた。3年間を振り返ると、素人ながらその事実経過に思い当たる。現在、オミクロン株が猛威をふるっているのは中国と日本だ。日本は過去最高の死者数を出していて、WHOの集計で、昨年12月26日から今年1月1日までの週間死者数は世界第2位、週間感染者数は第1位となっている。死者数1位は中国だろう。北京大の研究チームが、感染者数の累計が人口全体の6割となる9億人に達したというデータを出し、先週からずっと話題になっている。この1か月間の死者数は6万人。だが、これは病院で死んだ数にすぎず、実際はもっと多い。 オミクロン株は東アジアで感染爆発を起こしている。オミクロン株BA.5が従来株にない感染力の強さを持ち、抗体をすり抜けやすい性質を持っていることは、昨年7月のマスコミ報道でも言われていた。ハーバード大と米FDAは、この株に対応するワクチン開発を勧告していて、ファイザーとモデルナは秋までに準備したことになっている。実際、そうだったのだろうし、その結果、今冬のコロナ感染はアメリカやヨーロッパではさほど深刻な被害にならず、オミクロン株の毒性が低かったこともあり、欧米では脅威ではない状態になっている。しかし、中国と日本では過去にない感染爆発で死屍累々の惨状なのだ。BA.5の後に出た新変異種BQ.1系の凄まじい感染力の結果であり、毒性が低くても医療崩壊を起こし、膨大な高齢者の死者数を積み上げた。
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