Foomii(フーミー)

世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

中国民衆は抵抗闘争と政権交代を - 胡春華が逮捕処刑される前に

■中国共産党大会で胡錦涛が退席させられた事件は、ハプニングのように見えて、周到に演出された政治劇であり、胡錦涛の追放と共青団派の一掃を象徴的に顕示する習近平の権力差配だったと考えられる。カメラが入る前、胡錦涛は党決定案の採決時に何か - おそらく人事 - に反対し、異論を唱えて壇上から同志に訴えたか、動議を提出しようとして揉め、議長である総書記がそれを却下阻止して、議長権限で議場から強制退去させる指示を出していたのだろう。その進行(胡錦涛の覚悟の叛乱)が予め想定される出来事だったから、排除する場面を映像に撮って流させようと陰謀を画策し、ジャストのタイミングで外国報道陣を入れたのに違いない。 共青団系のホープである胡春華を党政治局から追い出して失脚させることと、胡錦涛を大会議場で物理的に排除することの二つはセットで、習近平による上からのクーデターであり、独裁権力を固めるための陰険な見せしめの粛清政治に他ならない。スターリン的で、毛沢東的で、北朝鮮的なグロテスクな暗黒政治の一幕だ。おそらく、党大会後、各省各市の党内で、そして国務院各部署で、粛清の嵐が吹き荒れ、胡錦涛・胡春華の系統の共青団派のテクノクラートが一掃されるだろう。北朝鮮で張成沢が失脚させられた2013年末の政変のときも、張成沢に連なる幹部が続々と処刑され、一派が「反党反革命分派」のレッテルを貼られて指弾、残酷な粛清劇が続いている。 ■今回、党中央政治局常務委員のいわゆるチャイナセブンは、悉く習近平の茶坊主だらけとなり、全く中身のないシャンシャン機関と化した。意思決定は形式だけのものとなり、内部での討議や多数決の要素は消滅した。象徴的で明示的なのは、党序列ナンバー2で首相に任命されると予想されるポジションに、腰巾着の筆頭で国民から嫌悪・軽蔑されている無能の前上海市書記の李強を据えたことだ。近藤大介がコメントしていたが、習近平が浙江省書記だったときの秘書長を務めていた腹心である。こんな男が国務院の総理になる。国務院が形骸化するのは当然で、恐ろしい影響が出るだろう。社会科学院とアカデミーも同様の運命を免れない。北朝鮮化する。 近藤大介らの解説によると、すでに中国共産党の中では各重要政策やテーマ毎にそれを審議し方向性を出す小組が出来ていて、そこを習近平の子分が仕切っていると言う。小組政治が動いている。文革・四人組時代の「革命委小組」と同じだ。忌まわしい先祖返りではないか。ということは、国務院各部の政策決定機構も有名無実化し、さらに、中国共産党の政治局や政策研究室も政策の関与から外れている実態を意味する。日本の安倍政治と同じで、霞が関各省庁は政策立案の実権を失い、自民党政調も安倍天皇の言いなりで、政策と予算と人事は茶坊主の官邸官僚が密室で決め、安倍晋三がお友達を集めた審議会でオーソライズしていた。今、中国が同じ一強独裁モードになっている。
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