■先週(7/17-23)、統一教会と安倍晋三、統一教会と自民党との関係を追及する世論と気運が大きく盛り上がった。殊勲は鈴木エイトのジャーナリズムである。見事だ。7月16日の日刊ゲンダイに、鈴木エイトが取材して作成した「統一教会と関係のある国会議員」の記事が出て、先週はこの問題が世間の関心と注目の中心になり、22日の報道1930、23日のTBS報道特集で取り上げられる進行となる。二つの番組の特集とも、佳作の中身に仕上がっていたが、その品質と水準を導いた立役者は鈴木エイトだ。 素晴らしい。安倍晋三の暗殺事件の核心が統一教会との関係にあること、自民党が統一教会とズブズブの関係にあり、それが山上徹也の犯行の背景として重要であること、その事実を、われわれはマスコミにストレートに指摘して欲しかったし、根拠となる情報材料を取材し提供して欲しかった。が、マスコミは核心から逃げ、本質から目を逸らし、真実を隠蔽する言説ばかりを撒いていた。安倍晋三と統一教会は無関係だとする結論を強調し、犯人は一方的な思い込みで安倍晋三を標的にしたのだという「事件像」を固めてきた。 ■その情報工作によって、安倍晋三と統一教会を分離させ、両者の事件における因果関係を否定する観念を植えつけてきた。そのことによって、この事件を自ら招いた安倍晋三の責任の認識(=教会の広告塔の役割 → 犯人の動機の合理性 → 自業自得・因果応報)を否定し、安倍晋三の神聖化に傷をつけないよう防衛し、国葬を支持する世論を醸成してきた。かかる奸計に対して一撃を入れ、真実を示す決定的証拠を示したのが鈴木エイトのジャーナリズムであり、事件をめぐるマスコミと世間の空気を一変させた。 22日の報道1930は、全体の構成もよく、要点をよく整理した内容だったが、ハイライトは、安倍晋三と統一教会との関係を証示する内部文書の暴露であり、選挙で安倍晋三が統一教会票の割り振りを直接に指揮し、安倍晋三の要請下で統一教会が選挙運動していた事実をスクープした点である。2013年の参院選時の教会内部文書が発掘され提示されただけでなく、青山繁晴が告発していた「統一教会票の割り振り」を仕切っていた「派閥の長」が、安倍晋三であると後藤謙次が断定する見せ場まで登場した。見どころ満載で膝を打つ80分間だった。… … …(記事全文3,693文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)