■注目のFOMCを前にして、週明けの6/13、ダウ平均は876ドル下げて1年4か月ぶりの安値水準である3万516ドルをつけた。年初来最安値。FOMCで利上げが発表されれば、その上げ幅の何如にかかわらず、NY株価は下落の勢いに弾みがつくだろう。FRBのパウエルは「物価安定回復には若干痛みが伴う」と発言、株価下落と景気抑制はやむなしの姿勢を示している。チャートを確認すると、ダウは年初1/3に史上最高値の3万6585ドルを記録していて、そこから半年で6000ドルも大幅に下げている。 米金融市場の不調と弱気を端的に示しているのは、ダウよりもハイテク株中心のNASDAQ総合指数の下落であり、6/13は▲4.68%も下げて10.809ポイントとなった。最高値は昨年11/22の1万6212ポイントであり、約半年で3分の2の値にまで急降下している。ここからさらに下がる。インフレの克服は厄介で、金融当局の政策手段は利上げと通貨供給量の縮小だが、そうした金融引き締め策は景気抑制策でもあり、企業の投資や個人の消費にブレーキをかける効果となる。アメリカでは早くもリセッションの声が上がっている。 ■インフレと不景気が同時進行するスタグフレーションが長く続くのではないかという悲観論が漂っており、本格的な冬の時代が到来した感がある。株価のチャートを一瞥すれば、ダウの水準は明らかにバブルであり、トランプバブルで1.5倍に膨れ上がり、バイデンバブルでそこから1.3倍も膨れ上がってしまった。オバマ政権の頃の水準が1万8000ドルだから、トランプが登場してからの5年間で株価は2倍に騰がっている。実体経済と乖離したマネーの操作と狂躁によるバブルであり、破裂すれば最高値の半分の値にまで下がっておかしくない。 森永卓郎は、昨年からずっとNY市場のバブル崩壊を予言し続けていた。森永卓郎のバブル崩壊説で注意を惹いたのは、今回のバブル崩壊(=株価暴落)は短期で回復することなく、長期にわたって続き、10年以上元の水準には戻らないという仮説を立てていた点である。1929年の大恐慌を引き合いに出し、ダウが元の水準に戻ったのは戦後の1950年代だったという歴史を紹介していた。つまり、今度のアメリカの景気後退は単なる一時的な不況のレベルに止まらず、大恐慌の規模と災禍にまで発展するという予測である。類似の説を唱えているのが田中宇と副島隆彦だ。… … …(記事全文4,883文字)