■オリバー・ストーンがディープステートについて語っている記述を見つけた。『もうひとつの日米戦後史』(詩想社)という新書の中にあり、鹿児島大の木村朗が書いている。オリバー・ストーンのインタビューの中で飛び出した歴史の逸話だ。意外な内容だったので驚いた。その部分を抜粋する。 ------------------------------------------------------------------ 特に注目されるのが、「ディープステート(闇の政府:国家内国家)」の存在への言及と「アメリカ例外主義」の危険性への警鐘、そして恐怖で国民を動かすやり方への欺瞞性の告発です。 まず、「ディープステート」の存在ですが、ストーン監督は原爆投下の責任者であるグローヴス将軍を取り上げて、「彼は非常に強硬派で、トルーマンのことをアメリカの意思決定に関われない人物だと評していました。そして、意思決定はディープステートがするのだと言っていたのです」、「トルーマンは、その既定路線に乗っかっていただけの人であって、ディープステートのシステムとして、ソビエトを威嚇するために、原爆は原爆は開発されていたからです」という重要な指摘をしています。(p.244) ---------------------------------------------------------------------- ■グローヴス将軍とは、言うまでもなくマンハッタン計画の責任者であり、原爆の開発と投下を指揮した主犯の米軍少将である。投下後は被爆地の調査を統括し、その「人体実験」の結果と影響を観察しつつ、被爆者の実態を隠蔽して残留放射線はないと言い張り続けた。昨年(2021年)放送されたNHKスペシャルのドキュメンタリーが記憶に新しい。オリバー・ストーンによれば、素人で凡庸で権力の新参者だったトルーマンを、グローヴスは格下に見下していて、原爆投下についても単に形式的立場上の意思決定者として扱っていた。Wiki の記述にも事情が詳しい。… … …(記事全文4,811文字)