■昨日(6/1)の報道1930を見ていたら、日本の防衛費増を具体的にどう実現するかという内容をやっていた。番組の結論は、公共事業費をカットしろというもので(堤伸輔)、松原耕二は、社会保障の抜本的改革をしないからいつまでも社会保障費が伸び続けるのだとも言っていた。堤伸輔も松原耕二も、国債増発による防衛費増には絶対反対で、それよりも公共事業を切るのが先決だと言う。今、来年度予算の作業が霞ヶ関で始まっていて、8月には概算要求が出るが、公共事業が切られるかもしれない。 地震や洪水から国民を守る防災対策とか、老朽化した地方のインフラ整備のための予算がカットされる可能性がある。先月下旬、日本の国民負担率46.5%がネットで注目され論議を呼んでいた。国民負担率が高いのに日本では国民へのリターンがない。社会保障はカットされまくり、自己責任での応益負担に切り換えられ、低所得層の生きづらさが増している。こんな中で防衛費増など狂気の沙汰であり、軍事費こそカットして社会保障や教育に回すべきなのに、テレビ報道が真逆の方向の論調で固め、防衛費増のための他予算カットを「正論」として唱えている。 ■松原耕二が番組の中で持ち出したのが、最近のマスコミの世論調査で、「GDP2%以上」の防衛費増に55%が賛成した日経の数字や、「反撃能力」に66%が賛成した毎日の数字や、「核共有」について議論するべきが79%となった日経の数字が紹介された。また、専守防衛を「見直すべき」が52%となったJNNの数字も示された。松原耕二は、自社TBSを含むこの世論調査の数字をバックに、それを根拠にして、防衛費増のための他予算カットの主張を番組で正論づけている。国民の多数意思であるとして軍事費増を正当化し、それを既定路線化した具体的方策を吐いている。 だが、よく考えなくてはいけないのは、この世論の現状と実態はテレビの報道番組の洗脳によって作られたものだということだ。世論調査の数字は確かにこのとおりなのかもしれない。だが、この現在の大衆意識は、ウクライナ戦争が始まってからの3か月で絶え間なくテレビに登場する論者とキャスターから吐き散らされた言説に影響を受けた産物であり、プロパガンダのシャワーに圧倒され教化された反応に他ならない。曰く、核武装してないと隣の強国から攻められる、ウクライナのようになる、専守防衛では対応できない、台湾有事は日本有事だ、日本の防衛費は少なすぎる、ドイツを見倣え、等々の好戦論に延々と漬け込まれた結果だ。… … …(記事全文4,973文字)