■昨日(5/23)行われた日米首脳会談について。正直、テレビ報道を見ながら目眩と悪寒を覚える。中国との戦争へ向けた軍事体制の整備が着々と進み、後戻りできる回路や余地を隙間なく塞がれた環境がほぼ仕上がった。国民の誰もが戦争から逃げ出すことができなくなり、黙って戦争に追従して行くしかない状況に固められた。中国に対する日本人一般の関係性は、最早、憎悪というような感情的なものではなくなり、戦争を前提にした、腹の据わった、決戦待機的で予定的な性質のものになっている。中国との戦争とそれへの準備過程が、国民一人一人にとって当然の将来像になっている。 中国との戦争に反対や抵抗の声が上がらない。反発の叫びや忌避の呻きがどこからも耳に入って来ない。報道1930で五百旗頭真と松原耕二が、これまでは戦後の平和主義でやってきたが、これからは軍事力をつけて国を守る時代なのだと言っていた。ウクライナ戦争が始まって以降の3か月で、この主張が前にせり出し、すっかり観念が定着し、専守防衛や憲法9条の理念がスポイルされてしまった。五百旗頭真と同じ主張をする者しかテレビに出ず、国民全体の意識が切り替わった感がある。10年前なら自民党のタカ派の政策でしかなかったものが、国民の共通認識になっている。 ■今は開戦本番の何年前なのだろう。5年前か、3年前か。たしか昨年、米太平洋軍前司令官が「6年以内に台湾有事」と発言して騒ぎになったとき、森本敏が、「僕はもっと早く起きると思う」とテレビで言った。今度のIPEFの立ち上げは一つのマイルストーンである。ロードマップは続く。ウクライナ情勢のために東アジアの戦略工作は一時停止していたが、次のキーステップは台湾内部の工作と動揺であり、独立運動の仕込みと展開だろう。合わせてEU各国幹部の訪台が続く。デービッドソンが米議会公聴会で「6年以内」と発言したのは昨年3月だから、現時点ではもう5年を切った時間軸になる。 世界の注目が集まったこの首脳外交を踏み台に、国内では軍事予算の大幅増が推進される。日本は現在でも世界第5位の軍事大国で、フランスや英国を凌ぐ軍事力ランキングにあるのに、この軍事大国がさらに2倍の軍事費を投入して増強を図ると言う。狂気の沙汰だ。ちなみに問題になっているドイツは13位で、ブラジルやトルコやエジプト以下の軍事力なのだ。おそらく、南西諸島から九州、北海道と、そこらじゅうに中距離核ミサイルの基地を建設し、宇宙とサイバー分野の装備に湯水の如くカネを注ぎ込むのだろう。注ぎ込んでも、実際は自衛隊の自前の軍事力にはならず、アメリカの利益に回収され、米軍が活用するだけだろうが。… … …(記事全文3,340文字)